2014年12月14日は、衆議院総選挙の投票日である。

今回は「総選挙の真の論点は、社会保障と雇用」という観点から、各党の公約を比較する。期待したくなる社会保障政策・雇用政策を公約している党はあるだろうか? それらの公約は、少なくとも実現がまったく不可能というわけではない経済政策や財源確保とセットになっているだろうか? 

本文中で紹介する銀行系シンクタンクから見た「アベノミクス」の現在の盲点とも合わせ、近未来の日本社会がどうあってほしいかをイメージし、投票にあたっての選択を行うための一助としていただければ幸いだ。

「社会保障と雇用」に注目して
各党の公約を比較

 明後日・2014年12月14日は、衆議院総選挙の投票日だ。当日、筆者の住む東京都は天気予報では快晴の見通しだが、東北・北海道を中心に大雪が予想されている地方も多い。投票を予定している方は、可能であれば期日前投票を行っておいたほうが安全かもしれない。

 今回は、比例代表で選択可能な各党の政策を、社会保障と雇用に注目して比較する。さらに、第二次安倍政権と「アベノミクス」下での変化が景気にどのような影響を与えたか、景気と雇用の関係はどのようであったかを検討したい。

 今回、各党の公約を検討するにあたり、比較する論点は、

・社会保障一般
・生活保護
・子どもの貧困
・教育
・雇用
・財源

 の6点に絞る。

 なお、景気については、あえて含めていない。分配の問題を不確定要因の多い仮定のもとに考えるのは、本末転倒ではないかと思うからだ。たとえば「好景気であれば社会全体が潤うので分配も豊かになる」「富裕層がよりリッチになればトリクルダウンが期待できるので低所得層もリッチになる」のように「好景気であれば」「富裕層がよりリッチであれば」という仮定を置くのであれば、その仮定が現実にならない限りは必要な分配が行われないことになる。

 分配はむしろ、深刻な不況や経済破綻のもとでこそ重要視される問題ではないだろうか? 最後のパンの一切れまで分け合って誰も死なせない道を最後まで放棄しないことこそ、再起を可能にし、より容易にする道であろう。もちろん、そこまでの極限状況に最初から陥らないことこそ、最も望まれる。そのためには、雇用と社会保障を不可分のものとして、分配の一形態として考える必要がある。