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かの残響、清冽なり――本田美奈子.と日本のポピュラー音楽史

オペラのアリアから流行歌まで110曲、
三浦環が残したクロスオーバーな録音

坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]
【第66回】 2014年12月12日
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日本人として音楽史上、最初にグローバルなオペラ歌手として活躍した三浦環(1884-1946)については、連載第61回に詳しく足跡を記した。ちょうど機械式録音の蓄音器が登場し、レコード産業が日本でも成長を始めた時期に当たり、オーディオ初期の録音がかなり残っている。残念ながらCD化された製品はすべて廃盤だが、各地の図書館に収蔵されているものもあるので、ぜひ一度は聴いていただきたい。忘れられつつある存在だが、歌唱の記録は多数残っている。

CD版「三浦環全集」の曲目

1941年12月20日、21日の公演「三浦・藤原と管弦楽の午後」(日比谷公会堂)のチラシ。マンフレート・グルリット指揮による東京交響楽団が伴奏している。日米開戦直後の時期だ。三浦環の演目に山田耕筰がアレンジした流行歌「船頭可愛や」が入っている。レコードも発売していた。このオーケストラは現在の東京交響楽団ではなく、東京フィルハーモニー交響楽団の前身。グルリットはこの年から藤原歌劇団常任指揮者だった
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 三浦環はニッポノフォン、日本蓄音器商会(いずれも現日本コロムビア)、米国コロムビア、ビクター蓄音器などに約110曲を録音して発売している。1910年代から40年代の約30年間である。また、NHKも戦後まもなく10曲程度は録音し、ラジオ放送で公開している。

 1995年にSPレコードの音源をデジタル化した「三浦環全集」(CD5枚組、1995年4月21日)が日本コロムビアから発売されている。LP時代にも3枚組である程度の曲数は発売しているはずだが、没後50年を記念して録音年代順に全曲を配列した「全集」はこれが初めてだった。

 後世への記録のために曲目を書き出しておこう(曲名表記はCDセットに記載されているとおり)。

●ディスク1
1. 夜の調べ(グノー)
2. 「カヴァレリア・ルスティカーナ」~あ、見たか(マスカーニ)
3. 「蝶々夫人」~さよなら花の隠れ家よ(プッチーニ)
4. 「リゴレット」~女心の唄(ヴェルディ)
5. 「蝶々夫人」~ある晴れた日に
6. 「蝶々夫人」~可愛がって下さいね
7. きんにやもにや(日本民謡)
8. 来るか来るか(山田耕筰)
9. サンタ・ルチア(ナポリ民謡)
10. オー・ソレ・ミオ(ディ・カプア)
11. シューベルトの子守唄
12. 薔薇よ語れ(フランケッティ)
13. セレナーデ
14. アイ・ラヴ・ユー
15. ブラームスの子守唄
16. ピアント・アンチコ(古き涙、フランケッティ)
17. 「ボッカチオ」~恋はやさし野辺の花よ(スッペ)
18. 白い月
19. 「蝶々夫人」~操に死ぬるは
20. お江戸日本橋(日本民謡)
21. ホーム・スウィート・ホーム(埴生の宿、ビショップ)

●ディスク2
1. 庭の千草(夏の名残のバラ、アイルランド民謡)
2. 三十三間堂(やなぎ)上
3. 三十三間堂(やなぎ)下
4. さくら
5. 来るか来るかと
6. きんにやもにや
7. パチパチヨ
8. サンシャイン・オブ・ユア・スマイル
9. マザー・マチュリー
10. 庭の千草
11. アロハ・オエ(リリウオカラニ)
12. 「ミニヨン」~君よ知るや南の国(トマ)
13. ホーム・スウィート・ホーム
14. 「ミニヨン」~君よ知るや南の国
15. 庭の千草
16. 毬唄
17. きんにやもにや
18. 背戸の段畑(俗曲)
19. 「蝶々夫人」~ある晴れた日に
20. 「蝶々夫人」~操に死ぬるは

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坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

1954年生まれ。78年早稲田大学政治経済学部卒業後、ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを経て現職。著書に『複雑系の選択』『めちゃくちゃわかるよ!経済学』(ダイヤモンド社)『浦安図書館を支える人びと』(日本図書館協会)など。


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日本のポピュラー音楽の誕生をレコード産業の創始と同時だと考えると、1910年代にさかのぼる。この連載では、日本の音楽史100年を、たった20年の間に多様なポピュラー音楽の稜線を駆け抜けた本田美奈子さんの音楽家人生を軸にしてたどっていく。

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