アマゾンへの怨嗟は、新たな課税ルールで収まるのか──。インターネットを通じて海外から配信される電子書籍や音楽、オンライン広告に対して、いよいよ国内取引と認定して消費税を課する。米アマゾンや米グーグルといった大手IT企業による国境を越えるサービスが課税されないという“抜け穴”は、来年度の税制改正で大きく変わることになりそうだ。
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アマゾンが電子書籍サービスのKindleストアを日本でもオープンしたのは約2年前のこと。1万5000点の漫画や、5万点以上の書籍をワンクリックで楽しめるもので大きな注目を集めた。
その際、国内の書店やライバル事業者をいら立たせたのが、ストア上に添えられた次の一文だった。
「Amazon.co.jpが販売するKindle本(電子書籍)には、消費税はかかりません」
その理屈はこうだ。アマゾンの本拠地は米シアトルにあり、コンテンツを蓄えているサーバーも海外に設置されている。日本のユーザーが電子書籍を購入しても、あくまで消費税の対象外である国外取引と見なされてきた。
例えば、現在Kindleストア上で売られている電子書籍『日本一やさしくて使える税金の本』の価格は800円と表示される。消費税はゼロだ。また楽天グループが展開するkoboも、本拠地をカナダに置いており同じく課税されない。
ところが同じ電子書籍でも、日本企業などが販売すると国内取引に認定。そのためストアでは、864円と本体価格の8%に当たる消費税が賦課された価格で販売されている。今後、消費税が10%へ引き上げられると、その価格差はさらに広がる。