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森信茂樹の目覚めよ!納税者

ムーディーズも日本国債を格下げ
自民圧勝後の財政運営ここに注目

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第85回】 2014年12月19日
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自民党が事前予想通りの圧勝を遂げた。国民からすれば、経済運営は「アベノミクス」しかなかったのだろう。しかし投票率に表れているように、それは決してアベノミクス経済運営への賛辞ではない。必要なことは、選挙戦で議論された、アベノミクスの副作用やリスクをミニマイズしていく経済政策を、着実に実行していくことだ。

不透明性は多少改善

 安倍総理は、解散直前に消費税率の10%への引き上げを17年4月まで延期するとともに、消費増税関連法から景気条項を外す決定をした。今後はエコノミストを総動員してのパフォーマンスもなく、よほどのことがない限り増税が行われるので、経済の不確定要因が排除された。このこと自体は評価すべきだ。

 増税延期の記者会見で総理は、「2020年度プライマリー黒字の公約は守る」ことを改めて明言した。その前に中間目標として、「2015年度プライマリー赤字半減」がある。最終目標のコミットは、この中間目標の達成も含まれるわけで、今後の財政運営が分かりやすくなったといえよう。ちなみにプライマリーバランス(基礎的財政収支=政策的な経費と税等の収支)が、支出(経費)超過ならプライマリー赤字で、収入(税金等)超過ならプライマリー黒字という。

 このように、不確実性がある程度なくなった点は評価できるが、問題は実行に向けての各論だ。これからすぐに始まる経済対策・14年度補正予算編成と、引き続く15年度当初予算編成が大きなカギを握る。

補正予算は最小限度に

 補正予算を考えてみよう。財源としては、前年度予算の剰余金(1.5兆円)や今年度の税収上ブレ、国債利払い費の不用(国債金利が当初予想より下回ったことによる予算の使い残し分)などで3~4兆円程度の財源が見込まれる。前年度剰余金は法律で、その半分を国債の償還に充てることが決められている。また今年度の税収の上ブレや国債費の不用は、今年度国債発行の減額に充てることが予算編成の常識だ。また、補正予算の一部が次年度に繰り越されるので、2015年度プライマリー赤字半減という目標も念頭に置く必要がある。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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