原油価格がここ半年で半減した。それが産油国ロシアの通貨ルーブルを直撃、1ドル=60ルーブルの水準を割り込み、この1年で3割以上減価した。原油市況に反転の兆しが見えず、ウクライナ問題によるロシアへの経済制裁が続く中、ロシア発の世界金融危機の可能性はないのか。そのリスクと世界経済への影響を分析した。

 クリスマスのロシアでは、両替所の前にルーブルからドルやユーロに替えようとする市民が引きも切らない。あまりの多さに、一部では両替を断る所も出てきた。高級自動車は転売ができるため飛ぶように売れ、もはや予約を受け付けられない店も続出した。誰もがルーブル売りに走る。上図で示したようにルーブルが急落したからだ。

 ルーブルは2014年11月上旬から下がり始め、12月22日には1ドル=54ルーブルと、年初に比べて3割以上下落した。その背景には急速に進む原油価格の下落がある。

 原油安が加速しているのは、世界経済の減速でアジアなどの新興国の需要が減退しているところに、サウジアラビアなどの産油国12カ国で構成される石油輸出国機構(OPEC)の総会(14年11月27日)で、現行の生産目標を据え置くことを決めたためだ。

 原油価格は、下図のように、1バレル=54ドルと、夏場に比べて半減している。ロシアは輸出の75%を原油と天然ガスに頼っており、原油価格が10ドル下落すると、ロシアのGDP成長率を1%押し下げるという世界銀行の試算もある。「苦境から抜け出すには最悪で2年程度必要」。プーチン大統領は12月18日の記者会見で、影響の大きさを認めている。