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原油価格急落でルーブルも暴落
「98年」ロシア危機は再来するか
――RPテック代表取締役 倉都康行

倉都康行 [RPテック(リサーチアンドプライシングテクノロジー)株式会社代表取締役]
2014年12月22日
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プーチン大統領は年末の年次記者会見でルーブル暴落に触れたが、対策に具体性は乏しく、市場の失望を誘った
Photo:REUTERS/AFLO

原油価格の続落を背景に、先週15日にルーブルは対ドルで60台に乗せ、16日には80ドルまでの暴落を演じて、世界の資本市場の眼をロシアに釘付けにした。株式市場への売りが強まる「リスクオフ」の嵐の中で、ドル円が一気に115円台まで下落するなど、市場には1998年のロシア危機の再来に怯えたパニックの気配も感じられた。

今日、ロシア経済は厳しい状況にある。プーチン大統領は「危機が克服されるまで最悪2年はかかる」と述べた。欧米の対ロ露制裁がすぐに緩和される見通しは乏しく、原油価格の更なる下落を予想する向きもある。やはり歴史は繰り返されるのだろうか。

ロシア国民もドル買いに走る

くらつ・やすゆき
RPテック(リサーチアンドプライシングテクノロジー)株式会社 代表取締役。1955年生まれ。東京大学経済学部卒。東京銀行、バンカーストラストを経て、チェースマンハッタンへ移籍。チェース証券取締役東京代表を経て、2001年4月に独立、現在に至る。著書に『投資銀行バブルの終焉―サブプライム問題のメカニズム』(日経BP社刊)、『12大事件でよむ現代金融入門』(ダイヤモンド社)などがある。

 この「ロシア売り」は、先週突然に始まったわけではない。年初以降1ドル30ルーブル前半の水準で推移していた為替相場は、ウクライナ問題に端を発する欧米の対ロ制裁強化にはそれほど動じることは無かったが、原油価格の下落傾向が顕著になるにつれて下落し始め、10月に40台を突破するとその勢いが止まらなくなってきたのである。

 10月末にはロシア中銀がルーブル安と物価上昇を抑制するために1.5%の利上げを行い、11月には通貨バスケット制度の廃止を発表して、為替介入額の上限を定め一定の相場変動を容認する姿勢を見せたが、その中途半端な策がルーブル売りを加速した印象が強い。

 12月11日の1.0%の利上げも通貨防衛としての明瞭なメッセージとは言えず、昨年6月に大統領補佐官から横滑りでロシア中銀総裁に就任したナビウリナ女史の若さと未経験が露呈したようにも思われた。

 その過程で、ロシア国民が自身の資産を外貨に替える動きも強まり、銀行にドルを求める人々の長い行列ができたという。ルーブル売りを主導したのは投機筋だけではなかったのだ。

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倉都康行 [RPテック(リサーチアンドプライシングテクノロジー)株式会社代表取締役]

くらつ・やすゆき/1979年東京大学経済学部卒。旧東京銀行で主にロンドン、香港、東京にて為替、証券、新商品開発、リスク管理業務などに従事。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージング・ディレクターを経て2001年4月にRPテック株式会社を設立、代表取締役。日本金融学会会員。産業ファンド投資法人執行役員、セントラル短資FX監査役、マネタリー・アフェアーズ誌編集人、国際経済研究所客員シニアフェロー、立教大学経済学部兼任講師などを兼務。主な著書に『金融史がわかれば世界がわかる』(ちくま新書)、『金融史の真実』(ちくま新書)、『12大事件でよむ現代金融入門』(ダイヤモンド社)など。


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