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元経産官僚・伊藤慎介の“天落”奮闘記

韓国は日本にとってのシリコンバレーだった!?
“甘えムラ社会文化”ではイノベーションは起きない

伊藤慎介 [株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長]
【第3回】 2015年1月7日
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 2015年という新しい年を迎えた。戦後70年の節目を迎えるということで、歴史を振り返る内容の記事や番組を多く見かけた。

 しかし、これからどうしていくかという話になると、誰もはっきりしたことを言っているようには思えない。戦後や高度成長期のように工業化や技術革新などによって、「今日よりも明日の方が良くなる」といった暗黙の共通目標のようなものがなくなって久しいからだろう。

叫ばれる「イノベーション」
他力本願な現実逃避では?

 では、新しい共通目標を作るべきなのか、というと筆者はそうは思えない。多様性が重視される時代において、共通のイデオロギーを持ち、同じ目標に向かっていくという発想自体が古いように思えて仕方がないからだ。

 そのことは会社など大きな組織のあり方についても同じだ。かつては一斉に新入社員として入社し、会社のために尽くすことを前提に、組織内の階段を一つ一つ登っていくことが当たり前であった。しかし、冷戦が崩壊し、インターネット時代に突入してからは、そういう前提は既に消え去ったと考えるべきだ。

 国語、算数、理科、社会をまんべんなくこなして有名企業に入り、主体性のないまま会社のために尽くして人生を全うするという古い価値観は捨てて、仕事を通して自分の持っている能力を発揮しながら、自己実現と社会への貢献を同時に達成していく。主体性のある生き方を選ぶよう、自身が価値観を変えていくべきであり、そういう人が増えれば自ずと社会の風潮は変わっていくのではないだろうか。

 「社会を変えていこう」ということは、今の日本において、ありとあらゆるところで叫ばれている。そのときに、かなりの頻度で「イノベーション」という言葉が使われているが、私自身、この「イノベーション」という言葉がどのように捉えられ、使われているのかが非常に気になっている。

 何がイノベーションなのかは人によって定義が異なるが、いずれにせよ、変化を起こして新しい価値を生み出すことを期待していることだけは共通しているように思う。

 つまり、現状のままでは将来が明るくなると思えないため、何らかのポジティブな変化は期待したいが、一方で個人としても組織としても過大なリスクを取りたくないため、「イノベーションを起こそう」という表現を使い、変化を期待する雰囲気だけは醸し出そうとしているように感じる。「アベノミクス」に対する期待もそういう気持ちが裏打ちされているのかもしれない。

 しかし、筆者にはそのような行為が、他力本願な、現実逃避のように感じてならない。

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伊藤慎介 [株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長]

いとう・しんすけ/株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長。1973年生まれ。京都大学大学院工学研究科卒業後、1999年に通商産業省(現、経済産業省)に入省。経済産業省では、自動車用蓄電池の技術開発プロジェクト、スマートハウスプロジェクト、スマートコミュニティプロジェクトなどの国家プロジェクトを立ち上げた後、2011~2013年には航空機武器宇宙産業課において航空機産業政策に従事。2014年7月に経済産業省を退官し、超小型電気自動車のベンチャー企業、株式会社rimOnOをznug design根津孝太と共に設立。


元経産官僚・伊藤慎介の“天落”奮闘記

経済産業省の官僚としてキャリアを積んできた伊藤慎介氏。しかし、新しいコンセプトの電気自動車を世に出すべく退官。株式会社rimOnOを設立した。官僚として定年まで勤めて政府系団体のポストに就くのが“天下り”だが、伊藤氏は官僚という“天”の地位から“下る”のではなく自ら“落ち”、リスクを背負って起業した。しかし、伊藤氏はそれによって産業政策についての新たな視点を得た。本連載では今の日本に求められるイノベーションとは何なのか、新たな産業の創造には何が必要なのか、官僚を辞めリスクをとって起業し、奮闘したからこそ見えてきた視点・視角をお届けする。

「元経産官僚・伊藤慎介の“天落”奮闘記」

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