ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

「量的金融緩和」は日本の発明品!
課題先進国の行く末を、世界が見守っている

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第8回】 2015年1月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
3
nextpage

 日本の企業は自信を失い、新しい研究開発に乗り出したり、優秀な人材を雇ったり、ライバル会社を買収するといった投資を避けてきた結果、世界的に評価される企業が非常に少なくなってしまいました。

 世界的に注目されている、「MITスマーテストカンパニー50社(2014年)」が先日発表されましたが、韓国のサムスンやLG電子、中国のバイドゥなどが選ばれているのに、日本の企業は1社も入っていません。日本ではあまりニュースに取り上げられていませんが、これはよろしくない状況です。

日本と米国、
経営トップに立つ人の違い

 日本が保守的な最大の理由は、失敗を許さない文化にあると思います。

 ビジネスの現場でPDCAサイクルを使っているのは唯一、日本だけです。日本に非常にマッチしていると思いますが、問題は日本の場合、P(プラン)からD(実行)になかなか行けないことです。このサイクルを有効に使うためには、Dに行くことが不可欠。Dに行きさえすれば、C(評価)、A(改善)で修正が効くからです。

 先日の講演会でも参加者の方から「大企業では失敗は許されない。チャレンジするにはどうすればいい?」という質問がありましたが、私は次のように答えました。

 「あなたたちは失敗したくないと言っているが、マクロでは失敗しているではないか。原因もはっきりわからない失敗を繰り返しているほうが、タイムロスも含めてもっと悪いことだろう」と。

 米国企業のトップ、リーダーたちの顔ぶれを見てください。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、誰もが失敗を乗り越えた人ばかりです。彼らに共通するのは、自分の強みも弱みも分かった上できちんとリスクをとることができるという点です。

 一方、日本の経営トップに立つのは、人事の判断で最も失敗の少なかった人です。失敗も経験したことがない、リスクをとったこともない、自分の限界も分からないということになると、トップに立った時点でもっとコンサバティブになるのは当然でしょう。

 米国で今流行っている言葉に「フェイルファースト(早く失敗しよう)」があります。早く失敗することで、チャレンジをもっと増やして経験やノウハウを積んでいこうというわけです。

 「七転八起」ということわざは英語にも翻訳されていますが、この意味は言うまでもなく「多くの失敗にもめげず、そのたびに奮起して立ち直ること」。いわば、フェイルファーストの基になっていることわざといえるでしょう。日本も「七転八起」の精神で積極的にチャレンジすべきです。

previous page
3
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

齋藤ウィリアム浩幸
[内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

⇒バックナンバー一覧