原油価格はどこまで下がるのか?
“逆オイルショック”再来の衝撃度
昨年末にかけて急落した原油価格は、1月8日現在、ニューヨークのWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)で1バレル=48ドル台まで下落し、不安定な展開が続いている。
1980年代の“逆オイルショック”の再来とも言える今回の原油価格急落によって、株式や為替などの金融市場も大きな影響を被り始めている。今後も原油価格の不安定な推移が続くと見られ、金融市場の動向や世界経済にも無視できない影響が及ぶ可能性が高い。
今回の原油価格急落の最も大きな要因は、米国のシェールオイル開発などによって供給が大幅に拡大したことだ。今や米国は、ロシアやサウジアラビアと並ぶ世界有数の産油国になっている。
供給サイドの構造が大きく変化したことによって、原油が今までのように、OPEC(石油輸出国機構)のカルテルによって価格維持される“特別なモノ”ではなくなったのである。“特別なモノ”でなくなれば、その価格は明確に需給によって決まることになる。
中国の経済成長が鈍化し、欧州経済も低迷を続ける状況を考えると、原油に対する需要は短期間には大きく伸びない。その一方、すでに開発された油田からは毎日、大量の原油が供給される。
今回の原油価格下落は短期間に進んだこともあり、供給サイドの調整にはまだ時間を要すると見た方がよいだろう。そうした見立てが正しいとすれば、原油価格にはまだ下落の余地が残っているはずだ。エネルギー専門家の中には、一時的に1バレル=30ドルを切る水準まで下がるとの見方もある。
原油に係る歴史を振り返ると、いくつかの節目がある。その1つは、1973年の“第一次オイルショック”だ。それまで、多くの企業が原油の使い道を模索する中、世界的に原油が余剰の状況にあった。それは、当時の原油価格が1バレル=4ドル台だったことを見ると明らかだ。