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知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴

高額療養費改正で負担が減る人、増える人

高所得層に民間の医療保険は必要か?

早川幸子 [フリーライター]
【第87回】 2015年1月15日
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 この1月、健康保険の高額療養費が改正された。

 高額療養費は、患者が1ヵ月に支払う自己負担分に上限を設けることで、医療費が家計の重圧にならないように配慮した制度だ。この制度があるおかげで、日本で暮らす私たちは病気やケガをしたときの負担を低く抑えることができている。

 しかし、今回の制度改正は、低所得層の負担を引き下げる一方で、高所得層にはこれまでよりも高い負担を求める内容になった。

 厚生労働省の試算によれば、負担増となる人は約1330万人。これを受けて、さっそく保険の見直しキャンペーンを始めた生命保険関連会社もあるようだ。

 たしかに病気やケガをしたときの負担が増えるのは心配なことだが、民間の医療保険に入らなければ医療費は賄えないのか。健保組合独自の付加給付の存在なども考えながら、冷静に考えてみたい。

応能負担の観点から
高額療養費も見直しが決定

 現在、医療機関の窓口では年齢や収入に応じて、かかった医療費の一部を自己負担する。たとえば70歳未満なら、会社員も自営業も3割だ。では、100万円医療費がかかったら、30万円を自己負担するのかというと、そのような心配はない。

 窓口での負担が一定額を超えると高額療養費が適用されるので、3割負担し続けるということはないのだ。

 昨年までのルールで見ると、70歳未満で一般的な収入の人なら、1ヵ月の医療費が100万円かかっても自己負担するのは約9万円。300万円でも11万円程度だ。医療費の負担を抑えられるありがたい制度と言えるだろう。

 高額療養費の創設は、福祉元年といわれた1973年(昭和48年)。当時、会社員の健康保険の窓口負担は初診時200円、入院1日あたり60円などの定額制。会社員本人の負担は非常に低く抑えられていたが、扶養家族は自己負担割合が5割の定率制だった。

 「家族の医療費負担が苦しい」という声を受け、会社員の扶養家族の自己負担割合を3割に引き下げると同時に、「高額療養費」が新たに設けられ、自営業者などが加入する国民健康保険にも導入されることになったのだ。そして、会社員本人の窓口負担が定率制に移行するとともに、全国民をカバーする制度として広がってきた。

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早川幸子(はやかわ・ゆきこ) [フリーライター]

1968年、千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、99年に独立し、以後フリーランスのライターとして女性週刊誌やマネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。現在、ダイヤモンドオンライン「知らないと損する! 医療費の裏ワザと落とし穴」、医薬経済社「ウラから見た医療経済」などのウェブサイトに連載中。13年4月から朝日新聞土曜版be on Saturday(青be)の「お金のミカタ」を執筆。「日本の医療を守る市民の会」発起人。


知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴

国民の健康を支えている公的医療保険(健康保険)。ふだんはそのありがたみを感じることは少ないが、病気やケガをしたとき、健康保険の保障内容を知らないと損することが多い。民間の医療保険に入る前に知っておきたい健康保険の優れた保障内容を紹介する。

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