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「引きこもり」するオトナたち

マタハラ、ママ友がきっかけ「ひきこもり主婦」の悲惨

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第230回】 2015年1月22日
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 『見えない「ひきこもり主婦」たち』という特集を「週刊朝日」1月30日号で4ページにわたって執筆した。

 「主婦」と呼ばれる人たちの間でも、顕在化しない「引きこもり」の実態は広がっている。

 そんな「ひきこもり主婦」についての詳細は、同誌に詳しく掲載しているので、そちらのほうを読んでいただくとして、誌面に入りきらなかった話を当連載でも紹介したい。

 「ひきこもり主婦」については、2013年の初め頃に当連載で取り上げた。しかし、最近になっても、当時の記事を検索し、「私も同じような状況です」といったメールがたびたび寄せられてくることなどからも、水面下には数多く埋もれていることが推測できる。

 これまでに受けた心の傷を親や周囲に口止めされ、ずっと言葉を封じ込めてきた結果、生きづらさを抱え、引きこもり状態になった女性たちがいる。社会にとどまらず、家族ともまったくしゃべらなくなる緘黙(かんもく)状態になると、周囲が本人の思いを聞くことさえも難しくなる。

 結婚できたとしても、夫や家族以外の人と心を閉ざし、社会やコミュニティで孤立する“ひきこもり主婦”の状況は、これ以上傷つきたくないからと“あきらめの境地”に至って沈黙する人たちの内面と、本質的に変わらない。

バリキャリからマタハラで退職へ

 都内の住宅地に住む30歳代後半のEさんは、中高一貫教育の女子校に通い、大学を卒業した後、大手製薬会社の正社員として入社。営業の仕事をしてきた。

 その後、母親の会社を手伝うために退職。2人で忙しく働いてきた。

 ところが、母親は身体を酷使してきたこともあって、咳が止まらなくなり、ガンが発覚。ステージIVの告知を受け、会社をたたんだ。

 未婚だったEさんは、このことをきっかけに、孫の顔を母親に見せたいと思い、当時付き合っていた男性と結婚。2人の子どもを出産する。

 一方で、Eさんは母親を介護しつつ、医療費を稼がなければいけないと考え、新たに薬剤関係の職場に再就職した。

 ところが、当時、上の子どもが産まれて7ヵ月くらいで、下の子どもを妊娠していたEさんは、職場で毎日、いじめに遭った。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


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「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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