1月20日、「イスラム国」を名乗るグループが日本人2人を人質にして、日本政府に2億ドルの身代金を要求。72時間以内に支払わなければ2人を殺害すると脅してきた。
ついにそうなったかと思うもののそれほど意外には感じない。わが国にとっては実に深刻な事態である。ビデオテープを見て、何とか2人が救出されることを願うばかりだ。
政府は2人の救出に全力を挙げるとともに、相手を挑発する言動を慎み、さらなる要求の口実を与えるようなことがあってはならない。
おそらくテロリストたちは、2人を拘束してから日本に巨額な身代金を要求する口実を待っていたのであろう。
理解に苦しむ安倍首相の中東歴訪
それにしても、フランスの連続テロ事件の直後になぜあえて安倍晋三首相が中東を歴訪したのか理解に苦しむ。戦後70年、外務省が目論む国連常任理事国入りの選挙運動の一環のような印象もある。
イスラム世界は、仏週刊新聞シャルリー・エブトが、テロ事件後に再度ムハンマドの風刺画を掲載してから局面が大きく変わっている。これで過激派ばかりでなく多くの一般ムスリムまで敵にまわしてしまった。
連日のように北アフリカのイスラム諸国からロシアのチェチェンに至るまで未曾有の大規模なデモが繰り広げられている。
日本政府はこのように異常な時期に何かが起きることを想定していなかったのだろうか?人質となった日本人2人は昨年秋には行方不明となっているのだから、当然想定していてもよいだろう。安倍首相というより外務省の責任を問わなければならない。
特に首相がこのタイミングでイスラエルを訪問したこと、「イスラム国」関連対策に2億ドルの資金拠出を表明したことは絶好の口実になってしまったようで残念である。