日本における「政治テロ」の被害者となった立花孝志氏(左)、岸田文雄元首相(中央)、安倍晋三元首相(右) Photo:JIJI日本における「政治テロ」の被害者となった立花孝志氏(左)、岸田文雄元首相(中央)、安倍晋三元首相(右) Photo:JIJI

日本で「政治テロ」を
過激化させた「真犯人」の正体

「急所である頭を目がけてナタを振り下ろしたが、緊張して狙えなかった」

 東京・財務省前の路上で「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首を襲撃し、殺人未遂と銃刀法違反の疑いで送検された宮西詩音容疑者(30)は、上記の供述をしている。

 犯行直前には“閃光手榴弾”を投げ込んでいることからも、強い意志をもって立花党首の命を奪おうとしたことは明白だ。つまり、これは「政治テロ」だ。

「立花氏の言動にはいろいろ問題もあるが、だからといって殺そうとするなんて……」と呆れる人も多いだろう。だが、残念ながら、このようなテロはこれからも発生し続けるだろう。

 実はこの2年あまりで、「この狂った社会を正すには“悪”を殺すのがベスト」という考え方が日本社会でウィルスのように急速に広まっているからだ。

 わかりやすいのは23年4月、岸田文雄元首相に鉄パイプ爆弾を投げた当時25歳の男だ。裁判では自分の政治的主張に注目を集めるためにやったことで「殺意はなかった」と弁明したが、この爆弾には爆竹の1500倍にあたる78グラムの火薬が詰められており、事前に爆破練習までしていた。減刑のためとはいえ「殺意がない」はさすがに苦しい。

 また、24年10月には反原発の左派活動家の50代男性が自民党本部に火炎瓶を投げて、200リットルのガソリンを入れたポリタンクを積んだ車で首相官邸に突っ込んだ。犯行動機は明らかになっていないものの、警備担当の警察官などが死ぬのは致し方なしと考えていたと捉えるのが自然だ。

 さて、そこで気になるのは、なぜわずか2年あまりでここまで「政治テロ」が続発しているのかということだ。