大企業出身者は転職すると
なぜ「頭打ち」になるのか?
以前、有名な大企業に勤める人が転職市場に出てくると、希少性も手伝って大いに人気を集める時代がありました。しかし最近は状況がまったく変わっています。大企業出身者であるがゆえに敬遠される傾向があるのです。
たとえば先日、誰もが知っている大企業に勤める30代後半の転職希望者をある中小企業の経営者に推薦したところ、ストレートにこう言われました。
「大丈夫、この人?」
大企業出身者が敬遠されるようになったのは、もちろん理由があります。多くの場合、大企業出身者ははじめて転職した会社で「頭打ち」になるからです。「頭打ち」とは思い通りにいかないことがいっぱい起こり、うまく活躍できなかったり本来の力を発揮できなかったりすることを指します。
大企業では当たり前のようにあった有形無形のリソースが、中小企業やベンチャー企業に行くとほとんどありません。そのため、大企業で働いていたときと同じようなパフォーマンスが発揮できなくなってしまうのです。
大企業の中は世間と隔絶した
居心地のよい別世界
とくに大企業と中小企業で差が大きいのは「人材」というリソースです。やはり大企業のほうが相対的に優秀な人材が多く、中小企業は少ないのが現実です。つまり、大企業出身者が中小企業に転職してそこで配属された部署のメンバーたちは、以前の職場と比べ力は大きく劣ることが多い。変わった人、一癖も二癖もある人も珍しくありません。
社長から与えられたミッションの実現に動こうとしても、そういうメンバーに大企業時代と同じようにコミュニケーションをとってもあまり通じないし、動いてもくれません。ときには足を引っ張られるようなことすら起きます。