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山崎元のマルチスコープ

三井住友を離れた「独立系」大和証券に期待する

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第97回】 2009年9月16日
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お互いに譲れない経営哲学とは?

 「どちらにも譲れない経営哲学があった」。9月10日に行われた大和証券グループと三井住友銀行グループの法人向け証券会社における提携解消の発表の会見(両社同日、別々に行った)で、大和証券の鈴木茂晴社長が語った言葉だ。

 三井住友銀行としては、さる5月にシティグループから日興コーディアル証券の買収を決めたことでもあり、さらにシティから譲り受ける法人向け証券会社を三井住友銀行の主導の下に同行と大和証券の合弁会社である大和SMBCと統合して、国内首位の野村証券グループを追いかける体制を作ろうとしていたところだった。推察するに、今回の交渉決裂は、証券戦略の「仕上げをやり損なったような」感触なのではないだろうか。

 報道によると、大和証券グループと三井住友銀行グループの合弁会社である大和証券SMBCは大和60%、三井住友40%の比率でこれまでやってきたが、今回、この比率を三井住友側が大きくなるように見直したいというのが、三井住友銀行側の強い意向であったが、大和証券側はこれを呑めないとして、交渉が決裂し、大和証券SMBCに関する提携の解消に至ったという。

 大和証券SMBCという会社の枠組みが出来たのは山一證券が潰れた後で、日興證券が自らを解体して法人部門をシティグループに売却したような証券業界にとって非常に厳しい時期だった。こうした時期にあって、銀行との資本提携は有効な信用の後ろ盾であった。証券業界は現在再び厳しい時期を迎えているが、サブプライム問題と金融危機の底が見えたかに思われる今の時期なら、単独でもやっていけるのではないかと大和証券側では判断したのではないだろうか。

 一方、交渉の詳細はあずかり知らぬが、三井住友銀行側としては、他の選択肢も探しつつ、もっと辛抱強く交渉しても良かったのではないかという疑問が湧く。大和証券SMBCのような会社の株式を40%も持っている状態は大きなチャンスだ。三井住友銀行、特にその一方の前身である旧住友銀行の行風を考えると、今回は「随分あっさりしている」という印象を持った。

 それだけ「譲れない」ポイントが三井住友の経営陣にもあったのだろう。

 では、お互いに譲れない哲学とは具体的に何だったのだろうか?

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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