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鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

このままでは“頭脳フライト”が加速する!
日本に「アジア超一流」を取り込む戦略はあるか

鈴木寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]
【第24回】 2015年2月5日
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「アジアナンバーワン大学」
シンガポール国立大学を視察

 こんにちは鈴木寛です。

 1月下旬、東大、京大、早稲田大学、筑波大学、東工大、慶應などの副学長クラスを含む教授陣とシンガポール国立大学(NUS)へ、その強みを分析するため調査に行って参りました。国家戦略としての人材への投資、アジアの新興国の勢いをどう日本の大学人材に取り入れるか、改めて考える機会になりました。

 シンガポールはご承知の通り、東京23区並みの面積に、北海道と同程度の540万人が住んでいます。19世紀前半に英国の植民地となり、1965年にマレーシアから独立しましたが、狭い上に天然資源を産出しない地勢にあって、「人材こそ資源」と位置付けてきました。それがいかに国家戦略として明確化されているかは、人材開発省という省庁を設置していることでも明らかです。経済発展を確かなものとするため、国際競争力のある労働力と充実した働く環境の実現を目指してきました。

 シンガポール国立大学(NUS)は、英国のQS社が研究者や企業の評判等で判定する世界大学ランキング(2014~15年)で22位とアジアトップ(日本では東大の31位がトップ)。2013年には、NUSが米エール大学と提携したエール・NUS大学も開学しており、国際的な存在感が急速に高まっていることが分かります。

シンガポールではワインセラー
日本では「理由書」が完備

 その背景としては、産業界と政府がNUSに投資をし、大学にも自治を与え、世界中の優秀な研究人材をスカウトしていることが大きいのです。また貿易産業省が、A*STAR(シンガポール科学技術研究庁)という外郭団体を設置し、大学の研究を基にしたイノベーションをサポートしているのも大きな特徴です。そういうわけで産官学の連携が非常にうまくいっています。

 現地には2日間ほどの滞在でしたが、NUSの先生方とディスカッションをし、A*STARの科学技術政策や、生体医療の研究拠点であるバイオポリスへの投資状況について視察やヒアリングをしました。

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鈴木 寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]

すずき・かん/元文部科学副大臣、参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。14年から国立・私立大の正規教員を兼任するクロス・アポイントメント第1号として東京大学、慶応義塾大学の教授に就任。同年、日本サッカー協会理事。15年2月から文部科学大臣補佐官として大学入試改革などを担当している。


鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

インテリジェンスとは「国家安全保障にとって重要な、ある種のインフォメーションから、要求、収集、分析というプロセスを経て生産され、政策決定者に提供されるプロダクト」と定義されています。いまの日本社会を漫然と過ごしていると、マスメディアから流される情報の濁流に流されていってしまいます。本連載では既存のマスメディアが流す論点とは違う、鈴木寛氏独自の視点で考察された情報をお届けします。

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