トヨタ自動車の2014年度の連結営業利益の見通しが、2兆7000億円となった。リーマンショック前の最高益を更新し、円安効果や春闘での賃上げ動向にも関心が集まるなど、社会から再び注目される状況になりつつある。その背景には、リーマン後の地道で愚直な体質改善がある。
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2兆7000億円──。売上高の数字ではない。営業利益の水準だ。業績が絶好調なマツダの今期の売上高が2兆9800億円、同じく好調な富士重工業が2兆8500億円の見通しである。これら2社の売上高と、ほぼ同じ規模の“利益”をたたき出すのだからすさまじい。
トヨタ自動車は2月4日、2014年度の連結営業利益の見通しを、前期比18%増の2兆7000億円へと、従来予想から2000億円、上方修正した。
しかも、通期の連結売上高は27兆円を見込むから、営業利益率は10%と2桁に及ぶことになる。
売り上げ規模が半分に満たないホンダや日産自動車のそれが5%台であることを鑑みても、トヨタという巨人の収益性の高さはひときわ目立つ。
営業利益2000億円の上方修正の最大の要因は、円安という環境の好転ではある。通期の想定米ドル為替レートを前回の1ドル=104円から109円へと5円の円安に変更、1750億円の利益押し上げ効果があった。
リーマンショック直前の業績と比較すると、07年度の連結営業利益は2兆2703億円と今期より4300億円ほど低い。当時は1ドル=114円で、今期の想定レートより5円も円安水準だから、トヨタがいかに筋肉質になったかが分かる。当時の営業利益率は、8.6%だ。