エクセルでは、計算ミスをしないことが大切。今回紹介するのはF2というキーです。では、なぜF1キーを抜くのか?その理由を公開! 『ビジネスエリートの「これはすごい!」を集めた 外資系投資銀行のエクセル仕事術』の著者・熊野整氏による連載第3回。

投資銀行では、
計算ミスは絶対に許されない

 投資銀行で絶対にやってはいけないこと、それは計算ミスです。たとえば、M&Aのアドバイスをするときに買収金額の計算をしますが、外資系の投資銀行の場合、最低でも数百億円、大型になると数兆円もの買収金額になります。これを、エクセルを使ってしっかり計算するわけですが、そこで計算ミスをして金額が少しずれただけでも、それこそ数億円、数十億円の違いになってしまいます。

 そこで活躍するのが、写真のキーボードです。なぜ、F1キーが抜かれているかは後で説明します。

エクセルを使いたければ、<br />F1キーを抜け!?


 顧客が投資銀行に求めているのは、ミスが絶対にない、正確な計算です。万が一計算ミスをしようものなら、顧客の信頼を失うばかりか、損害賠償を請求される可能性すらあります。ですから、投資銀行は計算ミスを起こさないように、十分に時間をかけて計算チェックを行います。

 実際に投資銀行で仕事をしている人間からすると、計算にはものすごく大きなプレッシャーがあります。よく「汗と涙の結晶」と言いますが、投資銀行の計算作業は「冷や汗と涙の結晶」です。

 いまでこそ私も、「計算ミスをしてはダメですよ」などと軽く言っていますが、投資銀行にいたときには本当に怖くて、できれば計算をやりたくないと思うこともしょっちゅうでした。
 夜中まで計算して家に帰り、眠る直前に「あれ、あそこの計算、間違えているかも?」と思うと、気になって眠れなくなります。そのプレッシャーを乗り越えてミスのない計算をしなければならないところが、投資銀行の仕事がきついと言われる理由の1つでもあります。

 そんなわけで、今回は、拙著ビジネスエリートの「これはすごい!」を集めた 外資系投資銀行のエクセル仕事術の中で、もっとも基本的な計算チェック方法であるF2キーについて説明します。