最近、中国やインド、ベトナムなど新興国の株式市場の動きが怪しくなっている。

 中国の代表的な株価指数であるハンセン指数は、昨年11月初旬に約30680ポイントの高値を付けた後、国内の金融政策などの影響もあり軟調な展開に転じた。今年に入っても下落基調は変わらず、6月13日現在、指数は約22600ポイントと高値から26%以上も下落している。

 インドのSENSEX指数も、今年1月に21000ポイントを上回る高値を付けた後、現在は15100ポイントを越える水準まで下落している。

 また、ベトナム株式市場のVN指数は、5月5日から6月11日まで連続で下落し、下げ幅は3割に達した。

 こうした新興国の株式市場の軟調の背景には、世界的な景気減速懸念の高まりや、投資資金の流出などの要因がある。元々、新興国の金融市場は、先進主要国と比較して、市場規模や先物などのインフラが未整備なことが多く、投資資金の動き等の影響を受けて、株価の変動幅が大きくなる傾向がある。

 価格変動幅が大きいということは、それだけリスクが高いことを意味する。今後、「新興国だから大丈夫」という先入観を持たずに、保有リスクを慎重に考えることが必要になるだろう。

新興国株式市場のリスク

 新興国の株式市場を考える場合、最も重要なファクターは市場規模が小さいということだ。

 市場規模が小さいということは、投資資金の流出入等の要因によって、株価が大きく影響を受けやすいことになる。それは、コップの中に水を注ぐと水位が上がり、水を抜き取ると水位が下がるのと一緒で、コップ=「市場」が小さいと、僅かな水=「投資資金」の流入によって株価が著しく上昇し、少しの投資資金の流出で、株価が大幅に下落する可能性が高くなるのである。

 高成長を続ける新興国の株式市場に高い投資効率を求めて、世界の投資資金が流れ込む場合には、株価が急騰することが考えられる一方、投資資金の一部が当該株式市場から流出する場合には、株価水準が大きく下落することが想定される。株価の変動率が高いということは、株価の低いところで買って、高いところで売却することができれば、高い投資効率を実現することができる。

 逆に、株価の高いところで買って、低いところで売ってしまうと損失額が大きくなってしまう。その意味では、新興国の株式市場は、文字通り、ハイリスク・ハイリターンの典型ともいえる。