ギリシャのチプラス首相は2月の関門は乗り切ったが、債務の返済期限は毎月やって来る。債務問題の厳しさは増すばかりだ
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 債務問題に苦しむギリシャのチプラス政権にとって、最初の関門は、2月末に現行の支援プログラムが期限を迎えることだった。

 2月20日、ユーロ圏財務相会合は、ギリシャ政府からの支援延長要請に応じ、最大4カ月間延長することで合意。その条件だった、構造改革案のリストについても、期限に1日遅れの24日にギリシャ政府から提出された。マーケットもこれを好感し、1月末のチプラス政権発足以来10%を超えていたギリシャ10年債の利回りは、24日に8%台に大幅低下した。株価(アテネ総合指数)も年初来の高値となった。

 だが、これは危機の先送りにすぎない。期限は延長されたが、実際に金融支援が実行されるためには、4月末までに詳細な改革案を提出しなければならない上、ギリシャ政府は議会で改革に関連する法案を可決する必要がある。だが、「反緊縮財政」を掲げて総選挙で勝利したチプラス政権が、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)のいわゆるトロイカを納得させられるものを出すとは考えにくい。他方、ドイツとIMFを中心に、トロイカ側もギリシャに対して妥協する可能性はほとんどない。

 実際、今回のギリシャの改革案リストに対して、IMFのラガルド専務理事は、「多くの点において、改革を実行する明確な確証に欠ける」と冷ややかだ。

 他方、ギリシャの政局も不安定だ。「反緊縮財政」で成立した連立政権にとって、改革案には温度差があり、空中分解する可能性が高く、法案可決も容易ではない。