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石川和男の霞が関政策総研

放射能を巡る根拠のない恐怖心の煽動は
復興の邪魔

~風評被害は科学的説明で快復させよ

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第41回】 2015年3月9日
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心配な子どもの健康被害
「現時点で放射線の影響は考えにくい」

放射線の健康被害に対する不安には、誤解に基づくものも多い。写真は放射線測定の線量計

 早いもので、2011年3月の東日本大震災と、それによる東京電力福島第一原子力発電所の事故から、もう4年が過ぎた。

 福島事故による地元住民への被害に対しては、これまで、医療面も含めて様々な措置が講じられてきている。特に心配なものの一つに、子どもの甲状腺への影響に関することがある。

 子どもの甲状腺検査の1巡目の先行検査で「問題ない」とされた1人が、昨年4月から始まった2巡目の本格検査で、甲状腺がんと診断が確定した。これについて、本稿執筆時点で直近の第18回福島県「県民健康調査」検討委員会(2月12日開催)では、同委員会の星北斗座長(県医師会常任理事)が、「現時点で放射線の影響は考えにくい」との見解を示したとのこと。これは、2月15日付け福島民報ネット記事に詳しい。

 こうした結果が随時公開されていくことは、大きな安心材料となる。今後とも、こうした医療面での対応も含め、専門家による適切な、かつ透明性ある情報提供を継続していく必要がある。

“美味しんぼ「鼻血問題」”に
代表される不可解で不埒な風評

 ところが、福島事故を巡っては、非常に不可解で不埒な風評がしばしば出回ってきた。それは、今も後を絶たない。その一つに、いわゆる“美味しんぼ「鼻血問題」”がある。

 これは、人気漫画「美味しんぼ」で昨年、福島第一原発を視察した主人公が鼻血を出すなどの描写が波紋を広げた問題である。原作者の雁屋哲氏は2月2日、この件について自身の見解を述べた著書「美味しんぼ『鼻血問題』に答える」(遊幻舎)を出版した。

 この著書で雁屋氏は、「放射線で鼻血が出るのは根拠がない」との批判に対して、

 「私が伝えたのは真実です。自分の体験した事実しか書きません。福島を取材した際に自分自身が鼻血を出し、異常な疲労感があった」

 と反論し、

 「福島の人たちよ、福島から逃げる勇気を持ってください」

 と訴えているらしい。

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石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


石川和男の霞が関政策総研

経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

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