大手勤務なのになぜ?
20代半ば女性に多い生き急ぎ症候群
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最近、若い年代のキャリア相談を受けてよく感じるのが「生き急ぎ症候群」の増加です。その傾向はとりわけ女性に強く見られます。
「生き急ぎ症候群」とはどういうものか。先日、ご相談を受けた20代半ばの女性のケースをご紹介しましょう。
彼女は大手企業に新卒で就職して数年になります。担当している業界が好調で仕事の内容は非常に恵まれており、会社からも高く評価されていますが、「真剣に転職を考えている」とのこと。その理由を尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「将来は海外で働いて、いずれシリコンバレーで起業したいんです。だったら大企業にいるよりもベンチャー企業で働いて起業の勉強をするか、MBA留学するか、いっそ海外に行って仕事を見付けるほうがいいんじゃないか、とても悩んでいます」
このままで自分の立てた志を実現できるのか。そんな不安や焦りを持っていました。
現在の仕事について詳しく話を聞いていくと、クライアントとの商談をまとめるのは上司や先輩で、自分は議事録づくりや交渉のサポート業務が多く、交渉の最前線に立てないことを気にしていました。ただ上司は尊敬でき、周囲も優秀な人が多いといい、職場環境には恵まれていました。
「そんなありがたい環境なら、仕事を通じて学べることはたくさんあるでしょう。逆にMBA留学や海外勤務では学べないことが、いまの職場にはいっぱいあると思いますよ」
「でも、あと5年で30歳ですし……」
もう30歳を超えたらチャレンジの機会がなくなってしまう。そんな焦りが「生き急ぎ」につながっていました。