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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

「ロボット=鉄腕アトム」の固定概念が
技術開発の邪魔になる

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第10回】 2015年3月16日
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ダボス会議で聞いた
「3つのM」の変化とは

 今年もスイスのダボスで開かれた「ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)」(1月21~24日)に参加してきました。そこで印象に残ったことの1つが、ピューリッツァー賞を3度受賞している米国のジャーナリスト、トーマス・フリードマンの「3つのMが変わった!」という話です。

 3つのMの1つ目は「マーケット(Market)」。これは皆さんも実感している通り、市場がグローバル化したということです。

 会期中、「ハイパーコネクテッド」と「インターディペンデント」というキーワードを何度も耳にしましたが、これもマーケットの変化を意味しています。

 ハイパーコネクテッドとは、直訳すれば「接続性過多」のこと。今やインターネットを通じて、よい情報も悪い情報もすさまじい速さで世界中を駆け巡ります。企業イメージを落とすような情報も止めようがありません。このスピードは私たち人類が経験したことのない速さです。

 一方、インターディペンデントは「相互依存」と訳され、お互いが密接につながり、絡み合っているということ。社会インフラから私生活までIT技術に依存している現在、システムがダウンしたら政治も経済も生活もたちまち大混乱に陥るでしょう。便利になった半面、こうした恐ろしさもあります。

 2つ目のMは「マザーネイチャー(MotherNature)」で、温暖化など激変している地球環境のことです。ビジネスにおいても環境問題への対応が重要な差別化策になっています。自動車メーカーもデザインのよさだけでなく、ハイブリッドカー、電気自動車、水素自動車など環境にやさしいクルマの開発に力を注いでいますね。

 そして、最後のMは「ムーアの法則(Moore's Law)」です。

 ご存知のように、半導体メーカー、インテルの創設者の1人であるゴードン・ムーア博士が1965年に提唱した「半導体の集積密度は18~24ヵ月で倍増する」という法則ですが、これが新しいフェーズに突入したというのです。

 近いうちに、コンピュータ(人工知能)が人間の脳を超えると言われています。コンピュータの進化は私たちの生活にとって歓迎すべきことですが、一方では今後、指数関数的成長に圧倒されることになるかもしれません。

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齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。

ご意見は、ツイッター@whsaitoまで。

 


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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