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岸博幸のクリエイティブ国富論

政治の近視眼化、リーダーシップ欠如の裏にある
“ポピュラリズム”の台頭

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第191回】 2012年6月29日
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 消費税増税法案が衆議院で可決されましたが、そこに至るまでの政治の混乱、採決での民主党内での反対・棄権の多さなどを見ると、日本の政治のリーダーシップの欠如には目を覆いたくなります。しかし、それは日本だけの現象ではないようです。欧米では“ポピュラリズム”が台頭しているのです。

“ポピュラリズム”とは

 「フラット化する世界」で有名な米国人コラムニスト、トーマス・フリードマンが、面白い記事を書いています。ユーロ危機に苦しむ欧州や景気低迷が続く米国など、世界中でリーダーシップの欠如が起きているというのです。

 フリードマン曰く、その原因の1つが“ポピュラリズム”の台頭です。ポピュリズムではありません。彼もロンドンでこの言葉を聞いたようですが、いわばポピュリズムの極致とでも言えましょう。ソーシャルメディアが普及する中で、政治家は世論調査のみならずツイッターやフェイスブックなどでのコメントばかりを気にするようになったというのです。

 かつ、ソーシャルメディアでのコメントは、思慮を重ねた上での考えというよりその場の気分を吐露しているので、気がつくと、政治家は今まで以上に世論の近視眼的な意見に左右されるようなってしまいました。

 かつ、本来政治家は世論をリードすべき立場なのに、ツイッターの“フォロー”やフェイスブックの“いいね!”に象徴されるように、ソーシャルメディアを使うことで世論のフォローばかりをするようになりました。みんながお互いにフォローし合って、世論をリードする人がいなくなってしまったのです。

 即ち、ソーシャルメディアの普及が政治の近視眼化とリーダーシップの低下をもたらしているというのです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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