飛散量がピークを迎えるスギ花粉。その対策は無花粉スギからマスク、メガネまでさまざまだ

 もはや国民病といっても過言ではない花粉症。国民の4人に1人がスギ花粉症に悩まされているというデータもある。個人でできる対応策としては、各種グッズの使用、民間療法、市販薬など数多いが、いずれも根本的な解決策ではない。

 もちろん行政も無策ではない。例えば富山県農林水産総合技術センター森林研究所の開発した無花粉スギ「立山 森の輝き」は文字通り、花粉をまったく出さず、種子による大量増殖が可能というから期待大だ。その宣伝周知活動の一環として2月27日には東京ミッドタウンにて、件の「森の輝き」の種子を富山県知事からオックスフォード大学総長へ贈呈する式典も行われた。

 実はこの雄花に花粉がないスギは、富山県の山林で1992年に偶然発見されたもの。それを元に富山県森林研究所が枝を土にさして根付かせる「さし木」で繁殖させることに成功した。さらに、無花粉スギの雌花に選ばれたスギの雄花を2度掛け合わせることで、無花粉スギの種をつくることにも成功したという。

「森の輝き」は既に年間数万本単位での出荷体勢が整っているというから喜ばしい。「森の輝き」の年間生産計画によると、平成25年は5000本だったものが27年には3万本、39年には30万本へと拡大されていく予定だ。県外にも出荷される予定で、全国的に植林されれば花粉症が軽くなるかもしれない。ただ、日本中のスギの何割かがこうした無花粉スギに置き換わるまで、どれだけかかるかを考えるとちょっと気が遠くなる。

 もうひとつの根本的な解決策としては病院での治療――例えば昨年10月に発売された舌下免疫療法治療薬「シダトレン」を用いた治療を受ける道もある。注射による治療に比べれば負担が少なく、上手くいけば毎年続く苦しみから解放される。しかし長期の通院が必要であること、少なくとも約1割には治療効果が現れないことを考えると、多忙なビジネスパーソンには二の足を踏む向きもあるはず。