日本人の3人に1人がかかり、しかも一度かかれば大半が治らないと言われる花粉症。今年秋に登場した新治療薬「シダトレン」は、やっかいな花粉症を根治させる可能性を持つ新薬だ。ただし、遅くとも12月中には治療を開始しなければならない。花粉症のメカニズムと、新薬の可能性を解説する。(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)

増え続けてきた花粉飛散量
2015年、関東は今年の倍に

 関東や九州では2月に入ると飛び始めるスギやヒノキの花粉。今や日本人の3人に1人となった花粉症患者には、受難の数ヶ月が待ち受けている。鼻水、鼻づまり、くしゃみに加えて目のかゆみも相当なものだ。

2015年は前年の倍の飛散量!今シーズンに新薬を試すには12月がラストチャンスだ

 旧科学技術庁が2000年に行った調査によると、医療費と医療関連費(マスクなど)、そして患者の労働生産性の悪化による損失を足し合わせると、スギ花粉症は、なんと2860億円の経済損失を生んでいるという。あれから14年が経ち、患者数は倍増に近い勢い。つまり、損失額も倍増し5000億円を突破しているものと考えられる。

 日本では戦後、スギやヒノキを植林した歴史があり、花粉生産能力の高い樹齢30年以上の人工林が増加している。それに伴って花粉飛散量も増えている。東京都のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は、1995年に1平方センチメートルあたり8697個と、当時としては最高記録をマークした。専門家のあいだでは「これ以上は増えない」と思われていたが、00年には9510個とあっさり記録を突破。さらに05年には1万6241個にもなった。