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岸博幸の政策ウォッチ

春闘妥結でいよいよ賃上げ!
景気回復への次なる課題は?

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第4回】 2015年3月20日
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春闘はまずまずの結果となりそう

今年の春闘では要求額が前年を上回る大手企業も見られた
Photo:東洋経済/アフロ

 3月18日は春闘の集中回答日でしたが、その結果をみると、大企業の多くが賃上げに前向きに取り組んでいることが分かります。大企業平均での昨年の賃上げ率はだいたい2%超でしたが、今年はおそらく3%超になるのではないでしょうか。

 ただ、勤労者のうち大企業で働くのは3割程度に過ぎず、残りの7割は中小企業で働いている現実を考えると、大企業よりも中小企業の賃上げがどの程度となるかの方が、消費の活性化の観点からは重要です。

 その中小企業の賃上げ率ですが、昨年はだいたい1%超でした。今年は、円安による原材料価格の高騰や消費税増税後の消費低迷などのマイナス要因はあるものの、人手不足が地方ほど深刻化している現実を考えると、昨年より多少は良くなり、2%程度になると期待できるのではないでしょうか。

 そうなれば、ただでさえ原油安の効果で物価上昇率が下がってきている中で、4月からは消費税増税の物価押し上げ効果もなくなって更に下がるであろうことを考えると、過去19ヵ月にわたって前年比マイナスを続けてきた実質賃金も、大企業と中小企業の双方で、春からいよいよ上昇に転じる可能性が高くなると考えられます。

 個人的には、上場企業の昨年4~9月の売上高が前年同期比で5%増、経常利益は7%増となっていることを考えると、特に大企業の賃上げ率はまだ低いと思っています。それでも実質賃金が増加に転じれば、それは消費をある程度押し上げることは間違いありません。

 即ち、昨年10月の金融緩和第2弾、今年に入ってからの補正予算と来年度予算という財政出動、そして政治主導の賃上げと、この数ヵ月の経済運営はだいぶうまく行っていると言えるのです。最近ずっと株価が上昇を続けているのがその証左ではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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