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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「トヨタVSホンダ」
しのぎを削る二強の強みと課題(下)

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第1回】 2015年3月27日
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>>(上)より続く

 かつて1990年代末に、独ダイムラーと米クライスラーが合併したことが、自動車世界大再編の引き金となった(両社は数年を経ずして離婚したが)。その背景には、次世代環境対応のエコカーの本命とされたFCVへの、莫大な投資力が求められたという事情もある。

 日系各社のなかでも、このFCV開発を含む多様なパワートレインに取り組む姿勢は、トヨタとホンダに共通するものがある。1997年末に赤字覚悟でハイブリッド(HV)車「プリウス」を投入したトヨタだが、HVからプラグイン・ハイブリッド(PHV)、電気自動車と次世代モビリティの各棲み分け領域を想定した開発を進めている。

 ホンダも効率改善とエネルギーの多様化を目指し、ガソリン・ディーゼルの内燃機関からHV 、PHV 、EV 、FCV へと開発を進め、FCVに関しては社会システムの中で新たな価値を創出可能とする。

 2002年には、共に限定リース販売でFCVを投入し、今回はトヨタがミライで先駆けたが、2015年度中にホンダも市販化する。

億単位の「ミライ」が700万円台に
ホンダも同様の価格設定を模索か

 かつては億円単位といわれたFCV が、ミライの723万6000円(補助金で500万円台)までコストダウンできたことからも、ホンダも同等な価格設定をしてくるだろうし、今後の普及拡大期には量販コストのダウンでガソリン車並みともなろう。

 このFCVに関しては、エネルギー問題における水素社会への政治力とも連動する。安倍政権による後押し、5年後の2020年に開催される東京オリンピックに向けた動きが、水素スタンドなどインフラ整備に大きく関係しそうだ。

 いずれにしても、トヨタがHVを97年末に市場投入してから本格普及までに15年程度かかったわけで、少なくとも2020年代以降が普及期になると見られれる。その時点で、どちらが主導権を握っているかである。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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