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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

目標の2年が経過した異次元金融緩和を総括する

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第6回】 2015年4月2日
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 日本銀行が2013年4月3日、4日の金融政策決定会合で異次元金融緩和政策を導入してから2年がたった。この政策の導入当初、2年程度の期間で目標を達成すると想定されていたので、導入後2年たった現時点でその総括をすることは、是非とも必要とされるだろう。

 結論をあらかじめ要約すれば、この政策は円安をもたらして株価を上昇させたが、実体経済には影響を与えることができなかったということである。

日銀の高値購入で
国債市場が歪んだ

 異次元金融緩和により、日銀の国債購入額は急激に増えた。この状況を詳しく見ておこう。

 保有主体別国債残高の推移は、図表1に示すとおりだ。

 日銀保有国債は、2006年から10年頃までは減少していたが、11年頃から緩やかに増加していた。それが、異次元緩和によって急激な増加に転じた。

 日銀、預金取扱機関(銀行、郵便貯金等)、および保険・年金基金の合計に対する日銀の比率を見ると、10年3月には10.2%でしかなかったが、14年12月には29.1%と、約3倍に上昇した。

 預金取扱機関の保有国債残高は、13年3月の315兆円がピークで、それ以降は減少した。14年12月では272兆円だ。この間の減少額は43兆円になる。国債は、金融機関のポートフォリオを構成する重要な要素だ。その残高がこのように1割以上も減少してしまったのは、ポートフォリオ最適化行動の結果とは思えない。そうではなく、日銀の巨額の購入によってポートフォリオ最適化が乱された結果と見るべきだろう。

 これに対して、日銀の保有国債残高は、13年3月の94兆円から113兆円増加して、14年12月では207兆円になった。これは、総資産317兆円の65.3%になる。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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