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大企業の安定捨てMBOで独立
製造業のDNAで総合エンタメ企業へ
フリュー社長 田坂吉朗

週刊ダイヤモンド編集部
【第76回】 2009年6月25日
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フリュー社長 田坂吉朗(撮影:宇佐見利明)

 大企業で働く安定を取るか、独立して可能性に賭けるか──。究極の決断を迫られたとき、後者を選べるサラリーマンは意外と少ない。

 「入社当時は独立するなんて夢にも思わなかった」というフリュー社長の田坂吉朗は、それでもMBO(経営陣による自社買収)という道を選択した。

 田坂は長年、制御機器大手のオムロンで研究者として、産業用ロボットなどの開発に取り組んできた。

 転機は1997年。「別の事業分野で自分が培ってきた開発ノウハウを試したい」。

 自ら新規プロジェクトの立ち上げに名乗りを上げると、当時の「プリクラ」ブームに乗って、プリントシール機事業に参入した。その第一弾は、写真ではなく似顔絵のプリクラ。オムロンの十八番であるセンサー技術を応用した自信作だったが、これが「まったくと言っていいほど売れなかった」。

 似顔絵が似ていないから人気が出ないのだと思い込み、精度の向上に躍起になったが、いざ女子高生への聞き取り調査をすると、「似顔絵なんて誰も興味ないし」と予想もしなかった答え。

 それ以来、生の声を取り入れようと、女子高生へのマーケティングを繰り返した。2年後、カメラのアングル変更や照明効果といういまや定番となった機能を搭載した「ハイキーショット」の開発に成功。爆発的な売れ行きを見せ、2000年3月期に初の黒字化を達成する。

 まさにこれからという01年、事態は急展開する。オムロン本体が上場以来初の赤字に転落したのだ。同社は事業の選択と集中を推し進め、事業部長だった田坂も「撤退」「事業売却」「独立」という選択肢を突き付けられた。

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