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黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

管理職のセクハラ事件を闇に葬る企業の杜撰(下)

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第11回】 2015年4月14日
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>>(上)より続く

設楽 最終的に会社は、男性を解雇にはしなかったのですが、社員たちには社内報や社内のイントラを通じ、この件を伝えたのです。「〇月〇日ごろ、男性社員が女性社員にこのような行動をとった。これは明らかにセクハラであり、許されないことである。今後、このようなことは厳に慎むように」といった内容でした。

 我々ユニオンとしても、男性には厳しく指摘しました。そして、女性の前では二度と同じようなことを繰り返さないように、とも注意をしたのです。

筆者 女性が100%満足したとは思えないのですが……。私は、人事部などが社員たちに伝えようとしなかった理由も理解できなくもないのです。こういう問題を公にすると、社員たちの間に動揺が広がりますからね。
  
設楽 その「事なかれ主義」がよくない。それでは、同じ問題が繰り返されるのです。男性は、職場の女性に対し野心を持つことがあります。普通に話し合うことができない場合があるのです。世代に関係がなく、多くの男性が持つ「特殊な感情」と言えるでしょう。

「今日、一緒にお酒でも……」が
そんなにいけないのか?

筆者 それはあるかもしれませんね。むろん、今回のケースのようなものではないですが、私も会社員だった頃を振り返ると、身に覚えがあります。

設楽 男性の「その感情」が問題なんですよね。ある会社でこういう男性がいました。「夜、晩くまで大変だね。いい感じで頑張っているね。どう? 今日一緒にお酒でも……」と何度か、口にしたのです。女性が仕事をしていて返事もしないのに、こんなことを繰り返し言えば、問題になりますよ。

筆者 「今日、一緒にお酒でも……」が、いけないのですか。

設楽 その通り。こんな言葉を発したときは、その瞬間の反応で、女性の気持ちがわかっていないといけない。瞬時のうちに見分けるのが、真の男ですよ。それができない男性は、女性に声をかけてはダメ。この男性は、会話のリズムと呼吸がわかっていない。

 ある有名私立大学医学部出身の医師の男性が、相談に来たのです。産婦人科に勤務していました。どうやら、解雇寸前になっているようでした。看護師や患者の女性を、食事などにしつこく誘ったようです。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

 ここ10数年の間に社会環境が大きく変わり、人々のホンネとタテマエに対する価値観が揺らぎ始めている。それを具現化しているのが、今の企業の職場ではないだろうか。これまでは、ホンネとタテマエが絶妙にバランスしながら、人間関係が維持されてきた。しかし、企業社会において生き残り競争が激化し、「他人より自分」と考えるビジネスパーソンが増えるにつれ、タテマエを駆使して周囲を蹴落とそうとする社員が増えている。

 誰もが周囲を慮らなくなり、悪質なタテマエに満ち溢れた職場の行きつく先は、まさしく人外魔境。そこで働く社員たちは、原因不明の閉塞感や違和感、やるせなさに苛まれながら、迷える仔羊さながらに、次第に身心を蝕まれて行く。この連載では、そうした職場を「黒い職場」と位置づけ、筆者がここ数年間にわたって数々のビジネスパーソンを取材し、知り得たエピソードを基に教訓を問いかけたい。

「黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史」

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