今回は、企業に跋扈するセクシャルハラスメントについて、ホンネとタテマエを考えたい。会社は、タテマエとして「セクハラは許されない」としている。しかしホンネでは、真剣にセクハラ防止に取り組んでいるとは言い難い側面がある。
今年2月下旬、セクハラをめぐる裁判の上告審で、最高裁から意義深い判決がおりた。ご記憶の読者も多いと思うが、大阪市の水族館の男性管理職2人が、女性派遣社員に対してセクハラ発言を繰り返した事件に関するものだ。
2012年、女性からのセクハラ被害申告を受けて調査した会社は、社内のセクハラ禁止規定に該当するとして、管理職2人をそれぞれ出勤停止30日間と10日間の懲戒処分にし、降格させた。これに対し、男性2人が「事前の警告がなく、突然のこの処分は重すぎる。手続きは不当だ」として無効を求め、提訴していた。
判決理由では、「会社内でセクハラ禁止は周知されており、処分は重すぎない」として、処分を無効とした二審・大阪高裁判決を取り消した。これで、懲戒処分を妥当とする一審・大阪地裁判決が確定した。「警告なしの懲戒処分は妥当」とした最高裁判決は、今後注目されるだろう。
では実際のところ、セクハラに関する社員の意識や企業の危機管理意識は、今の世の中でどの程度高まっているのだろうか。セクハラ問題に詳しい、東京管理職ユニオンの設楽清嗣氏(73)に意見を聞いた。
あの男性に処罰を与えてほしい
できれば解雇にしてほしい
筆者 日本経済新聞の報道(2月26日)では、こうあります。「判決によると、課長代理だった40代の男性2人は、派遣社員の20~30代の女性2人に対し、浮気相手との性生活を話題にしたほか、『俺の性欲は年々増すねん』『夜の仕事とかしたらええやん』などの発言を繰り返した」。
報道が事実ならば、こういう言葉は次元が低すぎると思いますね。
設楽 我々ユニオンがこの事件に関わったわけではないですが、報道を見聞きする限りで言えば、この判決・判例は正しいと思います。この男性たちの女性への言葉は「言葉による暴力」であり、人権侵害にほかならない。