親子関係に悩み、仕事と子育てに忙殺されるなか、かたや不安障害を発症し、かたや家庭を崩壊させる。
著書『解縛(げばく)』で「不安障害」と「摂食障害」の半生をカミングアウトした小島慶子。
ダイオキシン騒動後に窮地に陥った会社を建て直した処女作『絶体絶命でも世界一愛される会社に変える!』が話題になり、TBSテレビ『夢の扉+』出演で大反響を呼んだ石坂典子。1972年生まれ同士の「壮絶本音対談」第2回をお届けする。(構成:橋本淳司)

ゴミを減らすには「ゴミ」と認定しないこと

オーストラリアから見える<br />日本人の常識・非常識<br />【小島慶子vs石坂典子 壮絶本音対談2】小島慶子(こじま・けいこ)
タレント、エッセイスト。1995年、TBSに入社。アナウンサーとしてテレビ・ラジオに出演。99年に第36回ギャラクシーDJパーソナリティー賞を受賞。2010年にTBSを退社後、タレント、エッセイストとして活躍。著書には、夫が退職し、オーストラリアに移住したことが書かれた『大黒柱マザー』(双葉社)など多数。小説『わたしの神様』(幻冬舎)が4月30日に発売予定。

小島 私たちが生きている限りゴミが出ますよね。よくよく考えると、さっきまで愛用していたものでも、ちょっと古くなったと思ったり、汚れちゃったなと思ったりして、「いらない」と判断した瞬間にゴミになる。
 ゴミを捨てると、自分の目の前からは消えるけれど、同じ空の下にいる誰かが片づけなくちゃならない。街中で清掃業者の方を見かけますけど、あの人たちがいないと、街はゴミだらけになっちゃう。そう思うときに、自分にはその仕事ができるか? といつも苦しい気持ちになります。片づける人たちがいるから、私はゴミのことを忘れていられるんです。

石坂 まさにそうですね。

小島 人類が今のペースで生活を続けると資源不足になるのは明らかで、2030年には地球2個分の資源が必要になるそうですね。個人でできるリサイクルには限度があります。だったらどんな人が、どんなふうにリサイクルしているのか知らないと、永遠に「他人事」になってしまうんです。
 石坂さんの『絶体絶命でも世界一愛される会社に変える!』を読んで、初めて産廃業界の現場のことを具体的に知ることができました。

石坂 ありがとうございます。石坂産業では、受け入れた産業廃棄物の95%を減量化リサイクル化しています。ここまでリサイクル化率を上げるのは、埋め立てをする廃棄物を少しでも減らしたいという想いがあるからです。
 一度埋めた廃棄物は、土地の中にずっと残ります。国土の狭い日本で、今後も際限なく埋め立て続けるのは至難の業でしょう。さらに土壌を汚染する原因になるときもあります。だからこそ、埋め立てる廃棄物は最小限にしたい。土地を汚さない、埋め立てさせないという目的が、結果としてリサイクル化率を高めています。

小島 そもそもゴミって、自分が「これはゴミだ」と決めた瞬間にゴミになるんですよね。
 たとえば、着なくなった服を捨てようと思ったらゴミ。でも、古着のオークションサイトに出そうと思うと見方が変わるんです。私にとってはいらないものだけれど、誰かにとっては価値あるものと考えると、きちんと洗濯してアイロンをかけたりと、明らかに扱いが変わります。
 ゴミをなくそうと思ったら、いらないものが手元に発生したときに、それをゴミと思うのか、それとも自分は使わなくなったけれど誰かが使えるものと思うかで、廃棄物に対する態度が変わると思う。不要なものをゴミと認定しないことが、結果としてゴミの減量になるんじゃないか、と。