巴里の日本食 La Cuisine japonaise à Paris
【第4回】 2015年4月16日 加藤亨延 [ジャーナリスト]

日本のウイスキーはなぜフランスで人気なのか

キーワードは「希少性」と「高級感」

「希少性と高級感」は、日本のウイスキー各社が欧州で展開する販売戦略のキーワードでもある。「フロム・ザ・バレル」はニッカ商品の中で、フランスでもっとも売れる銘柄だ。参考小売価格は日本国内が1900円。それがフランスでは約4810円(37ユーロ:1ユーロ130円で計算)と2倍以上になる。もちろん輸入コストが上乗せされるため高価になることは必然だが、日本のウイスキーはそれを逆手に取り、ブランド価値を上げることに成功した。

ラ・メゾン・ド・ウイスキーでのイベント。壁一面を「フロム・ザ・バレル」が飾った

 ボトルデザインも商品イメージを向上させる大切な要素になっている。例えば「フロム・ザ・バレル」は、ボトルに他のウイスキーと異なりシンプルなデザインを採用している。そのスタイリッシュさは、同商品をウイスキー専門誌だけでなく、『マダム・フィガロ』などウイスキー以外のライフスタイルマガジンで取り上げさせる、きっかけとなった。サントリーも「響17年」で使っていた24面体のボトル形状や和紙ラベルが、フランスで結果的に日本のきめ細かい物作りをボトルからアピールした。

「味」「希少性」「高級感」「デザイン」に加えて、国際品評会での受賞も重なり、日本産ウイスキーのフランスにおける知名度は高まって行った。
 直近では、ウイスキーの国際的コンテスト「ワールド・ウイスキー・アワード2015」(WWA)で、「竹鶴17年ピュアモルト」が「ワールド・ベスト・ブレンデッドモルトウイスキー」を受賞している。2012年、2014年に続いて今回で3回目となる。また、「竹鶴21年ピュアモルト」も、WWAですでに4回の受賞歴誇っている。サントリーは2014年、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」で3年連続4度目の「ディスティラー・オブ・ザ・イヤー」に輝いた。同名誉チーフブレンダ―輿水精一さんは、ウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』が認定する「ホール・オブ・フェイム」に。日本人として初めてウイスキー殿堂入りした。

WWA授賞式の様子。右から2人目がニッカウヰスキー・チーフブレンダーの佐久間正さん
 
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加藤亨延 Kato Yukinobu

[ジャーナリスト]

1980年、愛知県生まれ。ロンドンの大学院にて公共政策学修士を修めた後、東京で雑誌、ガイドブック制作に携わる。世界各地で取材を重ねていくうちに、より現地の視点で発信したいと感じ、ロンドン時代から興味があったフランスへ。2009年からパリを拠点に、フランスを中心とした欧州事情を日本の雑誌などへ寄稿する。主なフィールドは日本・フランス・英国の比較文化・社会問題。


巴里の日本食 La Cuisine japonaise à Paris

 日本料理は、もはや日本人のものではない。パリの街を歩いていると、至るところで日本料理屋(Restaurant japonais)に出くわす。パリから郊外に出ても、日本料理屋は当然のようにそこにある。ブームじゃない。すでに日本料理はパリっ子にとって定番の選択肢だ。 

「巴里の日本食 La Cuisine japonaise à Paris」

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