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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

異次元金融緩和は設備投資をまったく増やしていない

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第8回】 2015年4月16日
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 金融緩和政策の本来の目的は、実体経済を成長させることだ。株価や為替レートなどのバブルを煽ることではない。異次元緩和の導入以後2年を経過したいま、これについての検証が必要だ。

 現実には、投資や輸出はほとんど増えていない。その意味で、異次元金融緩和政策は失敗であったとしか言いようがない。

本来、金融緩和政策は
投資や輸出を増やすべき

 金融政策の効果として期待されるのは、本来は、つぎのことである。

 マネーストックが増加し、金利が低下する。これにより、設備投資、住宅投資が増加する。また、海外との金利差が拡大するため、通貨が減価し、輸出が増えて輸入が減る。

 このように、金融緩和政策は、投資や輸出を増やさなければならない(金融緩和で円安が進むと物価が上昇し、実質所得が減少するので、実質消費はむしろ減る可能性がある)。

 これらの効果がなければ、いかに株価が上昇したところで、バブルでしかない。実際には、以下に見るように、異次元緩和政策の導入以降、設備投資も住宅投資も輸出も増えていない。

 したがって、異次元緩和策は、単に資産価格のバブルを煽っただけの効果しか持たなかったと評価せざるをえない。

 今後、物価上昇期待が高まるというが、仮に高まったところで、それが投資などの実物変数に影響を与えなければ、無意味である。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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