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「引きこもり」するオトナたち

Uターン転職が仇に!
地方にはびこるブラック企業の酷悪

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第237回】 2015年4月24日
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Uターン転職によって人生が大きく変わることも… Photo:studiopure-Fotolia.com

 地方都市に住む40代後半のAさんは、都会で優雅な生活を送っていた30代のとき、郷里にUターンして、デザイン会社に就職した。

 長男でもあり、年老いた母親から、何度も「帰ってきてほしい」と懇願されたのが理由だ。40歳を過ぎたら、再就職が難しくなるだろうという判断もあった。

 しかし、入社から数年経つと、その会社の経営が大幅に傾き、リストラを余儀なくされた。

 それから1年ほど就活を続けたものの、専門技術を持っていても、40代のAさんを採用してくれる会社は、なかなか見つからなかった。

 そんなとき、ハローワークで見つけたのが、零細の印刷会社の求人だった。

手取りは月12万~15万円
年収は以前の3分の1に激減

 ところが、その会社は、絵に描いたような家族経営で、70代の父親が社長、Aさんよりも年下の30代の子どもたちが役員をしていた。

 まず見習いで雇われた後、半年して、社長から呼び出され、こう言われた。

 「おまえみたいな年齢じゃどこも雇ってもらえないからな。うちで働くしかないんだよ」

 これまでも何社か働いてきたが、社長に「おまえ」呼ばわりされたのは初めてだった。それでいて、とくに驚いたのが、給料の安さだ。

 残業代を含め、おおよそ手取りで月額12万~15万円くらい。月に80時間ほど残業したこともあったが、そのときでも16万円ほどだった。

 Aさんの印刷オペレーターという業務は、集中して計画的に効率よくこなせば短時間で作業を終えるため、とくに長時間残業をする必要はないという。

 それでも社長は口癖のように、「もっと残業しろ!!」と叱咤した。

 みんな言っても無駄だと思って、あきらめていた。

 Aさんの収入は、都会にいた頃より、3分の1くらいに激減したという。

 外食することがなくなり、昼は毎日、弁当を持って行った。夜、飲みに行くこともない。あらゆる娯楽と手を切った。

 休日も、できる限り、お金がかからないよう、図書館で好きな読書をしたり、大型書店で立ち読みしたりして済ませた。

 外に出ること自体、少なくなってきて、街を自転車で走り回った。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


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「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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