「このままではデフォルト不可避」
市場関係者の間で高まる懸念
最近、多くの投資家が、ギリシャのデフォルト=債務不履行の懸念を抱き始めている。現在、ギリシャは事実上、金融市場からの資金の調達が不可能な状況に陥っており、EUからの追加支援が断たれると、5月にも公務員への給与の支払いや国際通貨基金(IMF)への返済ができなくなる。
その場合には、懸念されてきたデフォルトが現実のものとなる。同国政府の高官の一人は、「ギリシャの命運が尽きつつある」との発言をしており、事態は深刻さを増していることは間違いない。金融市場の参加者の間でも、「今の状況が続くと、デフォルトに陥ることは避けられない」との見方が高まっている。
ここまで苦境に追い込まれた背景には、ギリシャ政府の財政再建に対する意識が低かったことに加えて、同政府の稚拙な交渉手法があった。今年1月の選挙で勝利した急進左派連合のチプラス首相は、EUやIMFが求める緊縮財政に反旗を翻した。
チプラス首相の強気の姿勢と稚拙な交渉手法は、EUやIMFとの対立関係をつくってしまった。特に、EUの中心国であるドイツでは、多くの国民がギリシャの態度に強い反発を感じることになった。
同首相としては、「最終的に、ユーロ圏諸国はギリシャを支援してくれるだろう」との楽観的な見方があったのだろう。しかし、ドイツ等の諸国は、同首相の稚拙な交渉手法で方針を変えるほど安易ではなかった。
実際にデフォルトが発生した場合、関係諸国や投資家は相応の準備をしていると見られるものの、少なくとも世界の金融市場の大きな波乱要因になることは確かだ。