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経営眼を鍛えるビジネス発想・売れないが売れるに変わるスイッチはどこにあるか?

百貨店の「ネット販売」はなぜ失敗するのか

「オムニチャネル」は百貨店の救世主?

カート・サーモン
【第2回】 2015年5月7日
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「売り方」にこだわっていた経営者が「価値を売る」ことに気づいた時、「モノの見方」が変わる。そこから企業が変わり始める――。行き詰まりを感じる経営者の視点が変わるきっかけ、企業再生のきっかけとなる「スイッチ」の見つけ方を、経営コンサルティングのプロフェッショナル集団・カート・サーモンの河合拓氏が解説する第2回。今回はもはや“衰退産業”とも言われる「百貨店復活のスイッチ」だ。

Photo:sumire8-Fotolia.com

 今、我々の生活の様々なところにITが入っている。企業は莫大な投資を行いながらIT化を進めているが、それらが効果的に事業価値を上げたという話は、私の知る限りほんの数件に過ぎない。多くの企業ではIT化は過剰投資、あるいは無駄な投資になっている。

 最近は「IT化」という言葉が少なくなり、「デジタイゼーション」という言葉の方を聞くようになってきた。「IT化」というのは読んで字のごとく、今まで人間がやってきたことがITに置き換わる、という意味である。だから、その効用性は、自動化、省力化、正確性など生産性の向上となる。

 これに対して、「デジタイゼーション」というのは、ITを活用して、これまでなしえなかったような新しい付加価値を新たに創造することをいう。今百貨店業界で最もホットトピックである「オムニチャネル」に焦点をあて百貨店復活のヒントを提示したい。

間違いだらけの「オムニチャネル」

 オムニチャネルというのは、顧客が「いつでも、どこでも、どのようにしても」商品を購買できるよう様々な技術を導入し、組み合わせ、顧客にとって高い価値を実現することをいう。

かわい・たく
カート・サーモン・ユーエスインク日本支社パートナー/繊維商社にて10年の海外営業の後、経営コンサルタントに転身。ターンアラウンドマネージャ(企業・事業再生)として数多くのアパレル、流通チェーン、百貨店などにハンズオンで入り込み、経営立て直し、新規事業立ち上げを成功させた。著書『ブランドで競争する技術』(ダイヤモンド社)は中国語に翻訳され台湾でも発売されている。

 例えば、朝起きるとネスプレッソのカプセル在庫がきれていた。その場でパソコンで買うと翌日自宅に届く。オフィスから帰宅し、夜自宅でホッコリしているときに先週末に店舗で見た洋服をスマホで買う(いつでも)。女性の一人暮らしだと宅急便配達が自宅まで来るのがなんとなく嫌なため、通勤途中にあるコンビニで商品を受け取れる(どこでも)。あるいは、店頭で商品を見ていたらSサイズが切れていたため、スマホで在庫を探すと隣の店にあったので、そこからSサイズの商品が配送される(どのようにしても)、などだ。

 顧客は、リアルの店、ECを通して、場所、時間、方法を全く気にせず好きな商品を好きなように買うことができる。「オムニチャネル」という概念は瞬く間に業界に広がった。

 さて、そもそも、オムニチャネルという概念は米国からきたものだ。そして、米国ではGMS などのスーパーで発達したものである。確かに、米国でもメイシーズなど百貨店でオムニチャネルが進化した事例もあるが、米国の場合、まず、広大な土地を広くカバーするために様々な物流拠点が存在し商品を全国に届けている。

 また、米国では多くの消費者がスマホやインターネットを積極的に活用しており、全世代にわたってITリテラシーも日本よりはるかに高く需要も高い。一方、日本の百貨店などは、地方に行けば60歳以上の顧客が中心で、まだまだ購買の中心は店頭での接客を通した買い物だ。

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