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“世界のノブ”はいかにしてつくられたか?
【第10回】 2015年4月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
松久信幸

どんなに規模が大きくなっても基本はシンプル
エグゼクティブ・コーポレート・シェフに聞くNOBUのマネジメント

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世界30数ヵ国にレストランNOBUを展開、さらに2013年からはNOBUホテルも世界各地にオープンし始めているノブこと松久信幸氏。彼を支えるチームの1人、エグゼクティブ・コーポレート・シェフのトーマス・バックリーに、NOBUとの出会いや、シェフであると同時にマネジメントも行う立場について聞いた。(インタビュー:ダイヤモンド書籍オンライン編集部)

偶然からNOBUの一員に

――NOBUというレストラン、そしてノブ・マツヒサとの出会いは?

 はじめてNOBUの料理を食べたのはニューヨークのフレンチレストラン、ダニエルで働いていた23歳の頃です。僕はイングランド北東部ヨークシャーの小さな港町の出身で、街で初めてスキヤキ・レストランがオープンしたのは19歳の時。そこで食べたすき焼きと酒が最初の日本食体験ですが、同僚と出かけたNOBUニューヨークの料理は今でもメニューを思い出せるほど感動的でした。ニュースタイルサシミ、ウニの天ぷら、ロブスターのアンティクーチョソース、寿司、和牛、そしてベントーボックスに入ったデザート。どれも新しい味でしたが、とくにロブスターはスパイシーなソースが新鮮でした。フレンチではロブスターにスパイシーな味付けをすることはなく、カレーを作ったことがあるくらいでしたから。サービスも素晴らしかった。

NOBUコーポレート・エグゼクティブ・シェフのトーマス・バックリー。ノブ・マツヒサとの共著のクックブックを手に。

 ダニエルで2年ほど仕事をした後、スペインに渡り、エル・ブリで無給で働きながら新しい料理を学びました。エル・ブリの料理は日本の懐石に似たところがあるのです。5ヵ月ほど経って生活費が底をつくころ、フランスのプロバンスでアメリカ人のための料理学校を開くというパトリシア・ウェルズから手伝ってほしいと仕事のオファーがありました。給料がとてもよかったので引き受け、仕事が終わったら現金で受け取ることになっていました。ニューヨークを出てからバックパッカーのような暮らしをしていて銀行口座も持っていなかったんです。

 ところがパリでウェルズさんから受け取ったのは小切手。しかもその日からオーストラリアに発つので現金で渡し直すことができないと言います。この日は月曜日でした。小切手を銀行に持っていこうとしましたが、祝日だったのかストライキだったのか、なぜか銀行が全部閉まっていました。それで、わずかな現金をはたいて列車でロンドンに行き、兄弟の住むアパートに転がり込んだのです。このアクシデントのおかげで、僕はNOBUに入ることになります。

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松久信幸(まつひさ・のぶゆき) 

「NOBU」と「Matsuhisa」レストランのオーナーシェフ。1949年、埼玉県で材木商の三男として生まれ、 7 歳の時に父を交通事故で亡くす。14 歳の時に兄にはじめて連れていってもらった寿司屋でその雰囲気とエネルギーに魅了され、寿司職人になると心に決める。東京の寿司屋での修業後、海外に出てペルー、アルゼンチン、アメリカでの経験を基に、和をベースに南米や欧米のエッセンスを取り入れた NOBUスタイルの料理を確立した。 1987年、アメリカ・ロサンゼルスにMatsuhisaを開店。ハリウッドの著名人たちを魅了し大人気となる。1994年、俳優ロバート・デ・ニーロの誘いに応えNOBU New Yorkを開店。さらに、グローバルに展開し次々と店を成功に導く。2013年4月、ラスベガスにNOBU Hotelをオープン。2014年現在、5大陸に30数店舗を構え、和食を世界の人々に味わってもらおうと各国を飛び回っている。 主な著書に、『Nobu the Cookbook』『nobu miami THE PARTY COOKBOOK』(以上、講談社インターナショナル)、『nobu』(柴田書店)、『NOBUのすし』(世界文化社)などがある。


“世界のノブ”はいかにしてつくられたか?

約40年前、包丁1本で海を渡った料理人が、今や世界五大陸に三十数店のレストランとホテルを展開、レストランだけで年間のべ200万人以上が来店、2013年クリスマスのグーグル検索数がレストラン部門のトップという世界でもっとも有名なオーナーシェフになった。“世界のノブ”と言われる松久信幸は、日本人としての感性を貫きながら、いかにしてグローバルに成功を収めたのか? 対談やインタビューで浮き彫りにしていく。 

「“世界のノブ”はいかにしてつくられたか?」

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