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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

日本は選挙が多すぎる!安易に国民の信を問うことの弊害

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第105回】 2015年4月30日
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 自民党・公明党の連立与党は3月27日、安全保障法制の与党協議会を開催し、法案の主要条文に関して実質的に合意した。一方、日米両政府は28日未明(日本時間)、「防衛協力のための指針(ガイドライン)」を改定した。しかし、この新しい日米ガイドラインには、自民党と公明党の見解がいまだに割れている内容が含まれている(第104回)。本格的な国会論戦が始まる前でもあり、今後の展開が注目される。

選挙で重要課題の争点化を
徹底的に回避化してきた安倍政権

 「集団的自衛権の限定的行使容認」を柱とする安保法制の整備は、昨年7月の安倍晋三内閣で「閣議決定」されたものだ。だが、安倍政権は秋の臨時国会で安保法制の審議を行わなかった。与党協議の開始は、今年2月まで先送りされていた。また、始まった協議も、統一地方選前半戦の期間には一時中断した。安倍政権は、昨年12月の衆院総選挙、今年4月の統一地方選という二度の選挙で、慎重に安保法制の争点化を避けてきたのだ。

 安倍政権は、12年12月の衆院総選挙、13年7月の参院選、14年12月の衆院総選挙と国政選挙で三連勝した。だが、「憲法改正」「安全保障政策」「原発再稼働」など国論を二分する重要課題の争点化を回避し続けてきた(第94回)。一方で、誰も反対しない「消費増税先送り」や、バラマキによって円安・株高に誘導して、企業が目の前の決算期を乗り切り、一息つける「アベノミクス」を争点として打ち出すことで、勝利してきたのだ。

 しかし、重要課題の争点回避化を徹底的に行う安倍政権の姿勢は、現在総選挙を戦っている英国のデーヴィッド・キャメロン政権と全く真逆であるといえる。

「解散権」を自ら制限し財政再建に
正面から取り組んだキャメロン政権

 英国では、5月7日を投票日として総選挙が行われているが、世論調査で保守党、労働党の支持率がそれぞれ34%前後という大接戦となっている。おそらく、両党とも単独過半数を獲得するのは困難だ。選挙後には、現在連立与党の一員である自由民主党、昨年9月に独立の住民投票を戦ったスコットランド民族党(SNP)、近年支持を急拡大している極右政党・英国独立党(UKIP)らとの交渉によって、保守・労働のどちらが政権を獲得するかが決まるとみられている。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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