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出口治明の提言:日本の優先順位

資産・雇用・教育の「三大格差」をどう減らすか

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第138回】 2015年5月7日
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  ピケティ以来、「格差」という言葉が、一種のブームのようになっている。わが国は、アメリカや中国に比べれば、相対的に格差の小さい社会であると言われているが、格差の問題はどう考えればいいのだろうか。

「資産格差」はアメリカに
比べればはるかに小さい

 格差という言葉から、人々が反射的に連想するのは、おそらく資産の格差であろう。アメリカの資産格差については、よく、上位1%が全米資産の3分の1を、上位10%で7割を、上位20%で9割を保有、と言われているが、わが国ではどうだろうか。野村総研のレポート(2014年11月)によると、わが国では次の通り、上位2%で約2割弱を、上位20%で6割弱をという結果となり、しかも2000年から時系列で見てもさほどシェアは変わっていないのだ。

 もちろん、大きな資産格差があることは決して好ましいことではない。では、資産・所得の再分配を上手に行うためにはどうしたらいいのか。

 わが国の所得税は既に累進税率が導入されているので、これからの税制は消費税を基幹として考えるべきだろう。サッチャー元首相がいみじくも述べたように「われわれが汗水たらして働いた結果得られる所得に課税するのは、勤労を罰することになる。それよりも、個人が選択的に消費をする際に課税するほうがずっと公平」なのである。富裕層といえども消費をしなければ、およそ人生を楽しむことはできないのだから、サッチャー元首相の指摘は的を射ている。

 資産の再分配については、当欄で以前にも述べたように、相続税率を100%とする方向で検討を行ってはどうだろうか(もちろん、配偶者には相応の配慮があって然るべきであるが)。国家に吸い上げられるのがいやであれば、血縁の有無を問わず、生活費や教育費がかかる子育て世代である20代30代に対する贈与に限って贈与税率を0%とすればいい。そうすれば、例えば20代の若者が代表を務めるNPOやNGOにも高齢者の金融資産を移転することができるようになり、「金は天下の回りもの」が文字通り実現できるのではないか。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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