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高橋洋一の俗論を撃つ!

大阪の地下鉄はなぜ相互乗り入れが少ないのか

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第119回】 2015年5月7日
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大阪と東京の地下鉄の歴史から
大阪市営地下鉄の民営化を考える

大阪の交通、ひいては地域経済の将来を考えるには、大阪と東京の地下鉄の歴史を見る必要がある

前回のコラムでは、高速道路を例として大阪の交通インフラがいかに遅れてきたか、そしてそれを進めるためには、東京のバックアップ機能を持つ副都になるのが最短コースであり、そのために大阪都構想がいいと書いた。

 今回は、大阪都構想と一体になっている大阪市営地下鉄の民営化を考える。その際には、大阪と東京の地下鉄の歴史を見る必要がある。それらを見ると、「大阪の地下鉄はなぜ相互乗り入れが少ないのか」という疑問が解ける。大阪の市営地下鉄の歴史では、いわゆる「大阪市営モンロー主義」の弊害に触れざるをえないが、その歴史から、これからの将来を見据えれば、市営地下鉄の民営化が解決策となることを指摘しよう。

 その前に、5月4日の共同通信記事に言及せざるをえない。かなり酷い記事だ。「政令市廃止『検討』回答はゼロ 都構想で市長アンケート」というタイトルで、大阪市以外の19政令指定都市の市長を対象にしたアンケートである。報道によれば、市の廃止・分割の意向があったり検討したりしているとの回答はゼロという。

 これは、公正なアンケートになっていない。そもそも、政令市長は、政令市による既得権者なのであるから、権限を手放したいはずはない。しかも、二重行政は、県と市の間の問題であるので、政令市長だけではなく、その県知事にも聞かなければいけない。

 さらに、大阪都構想が必要なのは、政令市があまりに大きくなったからだ。政令市を特別区に分割できるようにする「大都市地域における特別区の設置に関する法律」の適用対象は、人口200万人以上の政令市だけであるので、大阪市を除けば横浜市と名古屋市の2人の市長にだけしか意味のないアンケートだ。

 ちょっと見識を疑うアンケートである。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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