大阪と東京の地下鉄の歴史から
大阪市営地下鉄の民営化を考える
前回のコラムでは、高速道路を例として大阪の交通インフラがいかに遅れてきたか、そしてそれを進めるためには、東京のバックアップ機能を持つ副都になるのが最短コースであり、そのために大阪都構想がいいと書いた。
今回は、大阪都構想と一体になっている大阪市営地下鉄の民営化を考える。その際には、大阪と東京の地下鉄の歴史を見る必要がある。それらを見ると、「大阪の地下鉄はなぜ相互乗り入れが少ないのか」という疑問が解ける。大阪の市営地下鉄の歴史では、いわゆる「大阪市営モンロー主義」の弊害に触れざるをえないが、その歴史から、これからの将来を見据えれば、市営地下鉄の民営化が解決策となることを指摘しよう。
その前に、5月4日の共同通信記事に言及せざるをえない。かなり酷い記事だ。「政令市廃止『検討』回答はゼロ 都構想で市長アンケート」というタイトルで、大阪市以外の19政令指定都市の市長を対象にしたアンケートである。報道によれば、市の廃止・分割の意向があったり検討したりしているとの回答はゼロという。
これは、公正なアンケートになっていない。そもそも、政令市長は、政令市による既得権者なのであるから、権限を手放したいはずはない。しかも、二重行政は、県と市の間の問題であるので、政令市長だけではなく、その県知事にも聞かなければいけない。
さらに、大阪都構想が必要なのは、政令市があまりに大きくなったからだ。政令市を特別区に分割できるようにする「大都市地域における特別区の設置に関する法律」の適用対象は、人口200万人以上の政令市だけであるので、大阪市を除けば横浜市と名古屋市の2人の市長にだけしか意味のないアンケートだ。
ちょっと見識を疑うアンケートである。