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遺伝子で拓ける未来の光と影
【第7回】 2015年5月8日
著者・コラム紹介バックナンバー
大西睦子

乳がんなどのリスクが3万円で調べられる?!
新たな遺伝学的検査サービスの是非

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米シリコンバレーで話題となった、「Color Genomics」社の新たな遺伝学的検査サービス。乳がんと卵巣がんの発症リスクがわかる、BRCA1およびBRCA2を含む19の遺伝子を調べる検査が約3万円で受けられるというものです。同社チームは非常に学際的で、多彩な投資家の期待を集めて1500万ドルの調達にも成功しました。果たして、本連載でも紹介した23andMeなどこれまでの遺伝学的検査サービスと何が違うのでしょうか?

 2015年4月21日、米シリコンバレーから遺伝学的検査に関する衝撃的なニュースが流れました。非常に安価な、医師が関与する遺伝学的検査が始まるというのです。

 このサービスを行う会社は「Color Genomics」といいます。同社には、学際的なチームが参画しており、コンピュータサイエンス、分散システム、機械学習、製品設計、遺伝学、およびGoogle、Twitter、MIT(マサチューセッツ工科大学:Massachusetts Institute of Technology)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)、スタンフォード大学(Stanford University)の専門家で構成されています。

https://getcolor.com/

 フォーブス誌によると、「Color Genomics」の最高経営責任者(CEO)のエラッド•ギル(Elad Gil)氏は、MITで生物学の博士号を取得し、癌抑制遺伝子PTENの研究に取り組みました。ところがギル氏はその後IT業界で働くことを決心し、Googleに転職しました。ギル氏は、「IT業界には将来性があり、生物学を大きく変えようとしている」と語ります。

http://www.forbes.com/sites/matthewherper/2015/04/21/start-up-pledges-to-cut-cost-of-breast-cancer-genetic-testing-from-4000-to-249/

 共同創設者兼社長のオスマン・ララキ(Othman Laraki)氏は、GoogleとTwitterの元開発者です。コンピュータ科学と経営の学位を、スタンフォード大学とMITで取得しています。フォーチュン誌によると、ララキ氏はBRCA遺伝子変異の保因者です。ララキ氏の母親もBRCA遺伝子変異の保因者であり、家族の複数が乳がんと診断されています。ララキ氏は、「私は永遠にBRCA遺伝子に束縛される」と語っています。

http://mitgsw.org/2014/speaker-lineup/othman-laraki/

http://fortune.com/2015/04/21/color-genomics-cancer-test/

 「Color Genomics」は、以下のベンチャーキャピタリストや著名人から1500万ドルを調達しました。

 まさに錚々たるメンバーです。コースラ・ベンチャーズ(Khosla Ventures)、Formation8、アップル社の共同設立者スティーブ·ジョブズ氏の妻ローレン·パウエル氏、シスコの最高技術責任者パドマスリー・ウォリアー氏、Twitterの役員ケイティ・スタントン氏、EventBrite共同創設者ジュリア・ハーツ氏、Yahoo共同創設者ジェリー·ヤン氏、PayPalの共同創設者マックス・レヴチン氏、Dropbox共同創設者ドリュー・ヒューストン氏、Box共同創設者アーロン·レビ氏…

 このように「Color Genomics」は、科学技術とビジネスの専門家が結束した、まさに夢のようなチームですが、医療の専門家はどのように関与しているのでしょうか?

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大西睦子

内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より2013年12月まで、ハーバード大学にて食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。


遺伝子で拓ける未来の光と影

ボストン在住の内科医であり、元ハーバード大学研究員である大西睦子氏が、話題の遺伝子研究の最前線をはじめ、遺伝子検査・医療のほか遺伝子食品などがもたらすメリットとデメリットについて紹介していきます。

「遺伝子で拓ける未来の光と影」

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