当たり前のことのように思えるが、うまくいっている人は整理・整頓ができ、ものを大切にしている。工場などでも5S活動が行われ、整理・整頓の重要性が認識されている。実は、この考え方は篤農家が歴史的に実践していったものだった。しかも、それは生産効率を高めるばかりでなく、固定費を下げる効果もあったのだ。

成功している人は
機械や道具をきれいに長く使っている

 成功している人は、機械や道具を丁寧に長く使い続けています。減価償却が済んでも、買い換えずに使い続けているのです。なかにはトラックを30年以上使う人もいます。

 しかし、うまくいかない人は機械を買い換えるのが早く、小道具をよくなくします。

 私たちの仲間に、雇用をしないで家族労力だけで効率的な作業をし、堅実な経営をしている林美之さんという人がいます。林さんはすべてにおいて丁寧な仕事をします。売上こそ派手ではありませんが、ものを大切に使うことで固定費(物件費)を極端に低くしているのです。

 そのもとにあるのは、「ものを大切にする精神」です。

 より具体的にいえば、「ものを丁寧に使う心がけ」「自分で責任が取れる規模から逸脱していない経営」です。そうすることで、所得率が高くなるのです。

 たとえば、林さんが乗っている2トントラックは、30年以上使用しています。普通それだけ使えば、あちこちにガタがきて、見た目もボロボロです。

 とっくに買い換えていいところですが、そのトラックは型こそ30年前と古いものの、見た目はとてもきれいで、そんなに長く使用しているようには見えません。それくらいよく整備されているわけです。