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China Report 中国は今

中国一人っ子政策の落とし子
劣化する新人類“80后”蔓延の深刻

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第33回】 2009年8月20日
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 「姿が見えないと思ったら、ソファに座って寝てるんです。ちょっと暇になるといつもこれで・・・・・・」

 上海の日系企業のオフィスでの出来事。何度注意しても改善がなく、経営者はやむなく彼女をクビにした。

 「彼女はいわゆる“80后”(パーシーホウ、80年代生まれの意)。本当に仕事になりません」とその経営者は話す。

 彼らの存在が深刻な社会問題になっている。筆者も泣かされた経験を持つひとりだ。「この方たちに電話でフォローしたいの。お願いね」。返ってきたのは「あー、面倒くさい」という言葉だった。一瞬耳を疑ったが、彼女は受話器を持ち上げるたびに、聞こえよがしのため息を何度も繰り返した。DPEサービスで写真の焼き増しを頼んだときのことも忘れられない。発注した枚数と受け取った枚数が合わないので、「確認してください」と言うと「これは私の仕事ではない」と逃げた。

 それ以来、筆者にとって“上海社会における80后”はひとつの観察すべき対象となった。一人っ子政策は1979年から導入されたが、 “80后”はまさにその主人公である一人っ子たち。すべての80后を否定するわけではないが、上海社会では少なくとも“80后”に肯定的なまなざしを送る人は少ない。

30過ぎて親のスネをかじる
中国版ニートが急増

 四川料理の火鍋を囲み、真っ昼間からタラつく若者。その日は日曜、祝日のどちらでもなかった。一見して仕事に就いていないことがわかる。そば立てる耳に聞こえてくる会話は次のようなものだった。

 「俺、こないだ面接したんだ。『月5000元はくれ』って言ったんだけど」

 「お前の学歴で5000元かよ」

 5000元(1元=約13円)といえば高給だ。名門大学卒の初任給ですらたいてい3000元から。十分な学歴も経験もないのに、いきなり初任給5000元を要求とは。当然、企業は却下する。卒業後、未就職のままに時が流れて30歳を目の前にする、そんな“80后”はひとりやふたりではない。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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