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オヤジの幸福論

公的年金額の実質減額は悪いこと?

後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]
【第41回】 2015年8月4日
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 最近、多くのメディアで「4月から公的年金額が実質的に減額される!」との報道がされており、オヤジの皆さんも耳にした人が多いでしょう。でも、年金額は0.9%増額されるのに実質的に減額されるというのが、どのような意味なのか、今一つピンとこない人も多いと思います。そこで今回は、この実質減額とはどういうことなのか、見ていくことにしましょう。

公的年金が持つ二つの自動調整機能

 公的年金を受給する前の人で、実際に受給できる年金額やその変動を意識したことのある人はあまり多くないと思いますが、公的年金には年金額を毎年変動させる二つの調整機能があるのです。その一つが「物価スライド」と言う仕組みです。この仕組みによって、公的年金額は各年の物価上昇率と賃金上昇率に応じて変わります。詳細の仕組みは複雑なので割愛しますが、簡単に言うと「物価上昇率<賃金上昇率」となる場合には、既裁定者(すでに年金を受給している人)は物価上昇率、新規裁定者(新たに年金受給者になる人)は賃金上昇率に基づいて年金額が改定されます。逆に、「物価上昇率>賃金上昇率」の場合には、低い賃金上昇率に合わせて既裁定者も新規裁定者も年金額が改定されます(上昇率がマイナスの場合には特例あり)。今回は、物価上昇率が2.9%に対して賃金上昇率が2.3%と、「物価上昇率>賃金上昇率」となりましたので、低いほうの賃金上昇率に合わせて2.3%で調整されます。この機能は、インフレ局面において年金受給者の生活水準を守るためにも非常に重要な機能と言えます。

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後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]

慶應義塾大学理工学部 非常勤講師。1997年慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。97年株式会社富士銀行(現 株式会社みずほ銀行)にて、法人向け融資業務に従事。2000年みずほ総合研究所に勤務し、主として企業年金向けの資産運用/年金制度設計コンサルティングに従事。06年一橋大学大学院国際企業戦略研究科にてMBA取得。同年4月アライアンス・バーンスタイン株式会社に入社。共著書に「企業年金の資産運用ハンドブック」(日本法令 2000年)、「年金基金の資産運用-最新の手法と課題のガイドブック-」(東洋経済新報社 2004年)などがある。

 


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年金支給が70歳支給になるかもしれない。公的年金ばかりか企業年金も怪しくなっている。銀行の金利も微々たるもの。平均寿命が延びるほどに老後が不安になってくる。自分で自分を守るためにどうしたらいいのか。オヤジの幸福のために自分年金について教えます。

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