情熱と能力がある人間が主導権をとる。
ルールはそれだけ。
会社も同じだと思います。
「表面的な価値」を「本質」と取り違える愚を犯してはなりませんし、人材、資金、時間などの限られたリソースを、「あれも大事、これも大事」と分散させてはなりません。「ユーザーのニーズに応える」という「本質」に全力を集中させる。それ以外に、ビジネスを成功させる方法はないと思うのです。
だから、僕は、LINE株式会社の社長に就任したときに、こう心に決めました。
「年齢、職歴、役職に関係なく、ユーザーのニーズに応える情熱と能力がある人間が主導権をとる。そして、クオリティの高いプロダクトを、どこよりも早く出す。ルールはこれだけだ」
そして、そのような環境を生み出すうえで邪魔になる考え方を、自分のなかから徹底的に排除していきました。かつてMBAで学んだことや経営書で読んだこと、常識とされていることにとらわれることなく、試行錯誤を繰り返しながら「実質」のみを追求したのです。その結果、次のような方針が確立していきました。
「戦わない」
「ビジョンはいらない」
「計画はいらない」
「情報共有はしない」
「偉い人はいらない」
「モチベーションは上げない」
「成功は捨て続ける」
「差別化は狙わない」
「イノベーションは目指さない」
「経営は管理ではない」
驚かれる人もいるかもしれません。
たしかに、これまでの常識に反することばかりです。
しかし、これらの方針はLINEを生み出したチームで今もまさに実践していることです。だからこそ、彼らはLINEを短い期間で、世界数億人のユーザーに利用されるグローバルサービスに育て上げることができたのです。