グーグルの検索結果に表示させる予定の「BUY」ボタンについて、波紋が広がる(画像はイメージで、本物のBUYボタンではありません) (c)Fotolia

 グーグルが、モバイルの検索結果ページに「BUY(購入する)ボタン」を付け加えるという。

 この「BUYボタン」は検索結果ページとは言え、すべての結果に加えられるのではなく、「スポンサーリンク」に伴うもの。スポンサーリンクというのは、検索結果ページの上部に表示される、検索キーワードに関連したネットショップなどの広告だ。だが、この計画が明らかになってから、評価は分かれている。

グーグルがオンラインショップを
始めるわけではない

「BUYボタン」のしくみはこうだ。

 モバイルユーザーが「BUYボタン」をクリックすると、商品がさらに詳しくわかるようなページに誘導され、色やサイズなどを選択。最後に購入確認ボタンを押してショッピングを終える。

 実際の商品はグーグルではなく、ネットショップから送付される。つまり、グーグルが特別にオンラインショップを運営したりするのではなく、グーグルはクリックスルーを提供するだけだ。ショップとの契約も、売上の一定率をマージンとして受け取るわけではなく、あくまでもクリックスルー料金の課金という。

 スポンサーリンクが充実して、簡単に買物もできるようになるわけだから、ショップにとっても悪い話ではないはずだが、問題はこれが従来のようなクリックスルーにはなっていない点である。実は、ユーザーは買物を終えるまでグーグルのサイト上に留まる可能性があり、支払いもグーグルに登録されたクレジットカードで行う。つまり、クレジットカードのデータ、客のデータ、買物履歴などのデータはすべてグーグルが握ったままということだ。

 ショップからの抵抗をかわすために、グーグルではユーザーが望めば、ショップのマーケティングに役立つよう、メールアドレス等を提供できるようにするという。グーグルが、ショップとユーザーとの間に立ちはだかっているような印象を和らげるためだ。

 このしくみは、マーケットプレースの看板をグーグルが担い、その下にショップが連なっているというイメージだ。グーグルは、モバイル検索という従来のリソースを再利用することでそれを実現し、ひょっとするとモバイルショッピングで大きなシェアを獲得する可能性も出てきたと言っていいだろう。