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人生の99%は思い込み――支配された人生から脱却するための心理学
【第5回】 2015年6月5日
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鈴木敏昭 [心理学者]

世界をどう捉えるかという「基本的構え」が
あなたの思い込みを左右する

なぜ肝心なときに失敗してしまうのか、なぜ幸せを自ら崩壊させてしまうのか……。あなたには、そんなところはないでしょうか? 実はこれらはすべて思い込みからなる「人生脚本」のせいだと語るのは、「人生の99%は思い込み」の著者である心理学者の鈴木敏昭。
人生脚本を構成する禁止令。その禁止令がどんなふうに人生の土台を築いていくのか、みていこう。

禁止令が人生に対する
「基本的構え」を作り出す

 前回は13の代表的な禁止令を紹介してきた。
(1)「何もするな」「実行するな」
(2)「お前であるな」
(3)「子どもであるな」
(4)「成長するな」「親から自立してはいけない」
(5)「感じるな」「感情を表に出してはいけない」
(6)「考えるな」
(7)「近寄るな」
(8)「成功するな」
(9)「自分のことで欲しがるな」
(10)「健康であってはいけない」
(11)「重要な人になってはいけない」
(12)「所属してはいけない」「仲間入りをしてはいけない」「孤独になれ」
(13)「存在するな」
 この中で、あなたが思い当たるような禁止令はあっただろうか?

 もちろん子どもの認知の仕方は人それぞれなので、「親にこう言われたら、子どもはこうなる」といった単純なものでもない。ただ、この世界において「なにがOKでなにがNGなのか」を把握する上で、親の禁止令は大いに影響しているといえるだろう。

 こうした禁止令によって、4つの「世界のとらえ方」が生まれる。交流分析ではこれを「構え」と呼ぶ。人生に対する基本的な構えである。
人生の土台にどのような構えを持っているかで、大人になってからの人との関わり方などは変わってくるのだ。

人生の土台を築く「構え」の
4つのパターン

 世界のとらえ方である「構え」には大きく4つのパターンがある。あなたはどこに当てはまるだろうか? 是非、考えつつ読み進めていただきたい。

1、「私もOK、あなたもOK」の構え

「この世に生きているものは、すべて価値がある」「自分が嫌なことは、他の人にやらない」など、自分も他者も肯定する構えだ。
 この構えを持っている人は、幸福な人生脚本を持ち、充実した人生を過ごしている人が多い。親から受けた禁止令も適度なもので、自分の人生脚本にも他者の言動にも惑わされることなく、自分の望む方向に人生を進めることができる。
この構えを持っている人は、「人格者」「尊敬できるリーダー」タイプと言える。
 心にゆとりを持ち、他人の気持ちに素直に共感できる。自分と同じように、他人も尊重できるのだ。
 また、自分にも自信があるから、いつも前向きだ。ちょっとの失敗でもへこたれないし、常に周りの人を勇気づける気遣いも忘れない。
 自分や会社の同僚などの日頃の発言を観察してみて、「みんなで頑張ろう!」「お互い、よくやったよね」などの言葉が自然とたくさん出てくる人は、この構えを持っていると言えるだろう。

2、「私はNG、あなたはOK」の構え

 「自分はたいした人間ではない」「周りはみな素晴らしい人ばかり」と、自分に対しては否定的だが、他人に対しては肯定的な構えである。
 この構えを持っている人は、有名小学校の受験に失敗したなど、親の過大な期待に応えられなかった体験を持っていることが多い。その敗北の体験を通して、「自分は能力がない」「ダメな人間だ」という禁止令を人生脚本に取り込んでしまうのだ。
 だから自己評価が低く、あらゆることを消極的に考えてしまう傾向がある。せっかく恋愛や出世のチャンスが来ても、「どうせ自分じゃダメだ」と尻込みしてしまう。勇気を出して一歩踏み出しても、「きっと失敗する」と心の奥底で思い込んでいるため、結局うまくいかない傾向がある。
 また、自分に自信がないため、せっかく仕事で結果を出しても「いや、まだまだ」「あの人のほうが優秀だ」などと卑屈になりがちだ。他人の方がよく見えて、自分を下に見てしまう癖がある。
自分がNGで他人がOKだということは、人の支配を許すという意味にもなるだろう。ブラック企業で理不尽な要求をされても黙って従うのは、もしかしたら、この構えを持っているのが原因かもしれない。

3、「私はOK、あなたはNG」の構え

「俺のものは俺のもの。おまえのものも、俺のもの」という、ドラえもんに出てくるジャイアンタイプがこの構えだ。自分は肯定するが、他者は否定する。
 この構えを持つ人は、幼児期に親から過保護に育てられ、「欲しいものは何でも買ってあげるからね」「お前はすごいね」と、叱られることなく賞賛ばかりされてきた人に多い。だから、自己中心的でわがままな態度を取ってしまう。他人に対して支配的にふるまい、疑り深くなる。自分の考えにあわないものや、意見の合わない人を力ずくで排除しようとする、暴君タイプだ。
 この構えを持つ人は、他人の成功を許せない。だから、成功している人の欠点をあげつらったり、弱い者いじめをして憂さを晴らそうとしたりする。
 ツイッターやブログを炎上させる人も、この構えを持っているのかもしれない。相手がまったく知らない人であっても、少しでも意にそぐわない行動や発言をすると、その人のプライバシーを徹底的に暴き立てて、破滅に追い込む。自分が正義だと信じて疑わないのだろう。

4、「私はNG、あなたもNG」の構え

 これは、もっとも問題のある構えである。
「生きているのがむなしい」「人生なんて無意味だ」など、自分も他人も、すべてを否定してしまう。
 この構えを持つ人は、幼少期に育児放棄などの虐待を受けた人が多い。無条件に自分を受け容れてくれる存在がいなかったため、自分の中に「心の安全基地」をつくれなかったのだろう。
 だから、この構えを持つ人は、人間関係の濃淡が極端になってしまう。自分の殻に閉じこもって一切の人間関係を拒否する、いわゆるひきこもりもいれば、カルト教団の信者のように完全に他者に依存し、信じ込んでしまう人もいる。


 幼少期の禁止令などによって、こうした人生に対する構えが成立する。この構えが、その後の人生において、世の中や人生を規定する「土台」となっていく。構えによって、この世界をどう解釈するかが決まるのだ。
 次回は、人生脚本に影響を与える「ドライバー」という考え方を紹介する。

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鈴木敏昭 [心理学者]

◎1950年東京生まれ。教育学修士(京都大学/1980年)。
◎77年横浜国立大学教育学部卒業後、80年に京都大学大学院教育学研究科(修士課程)修了。85年に京都大学大学院教育学研究科(博士課程)単位取得満期退学。その後、四国女子大学家政学部助教授などを経て、96年より四国大学生活科学部教授。
◎専門分野は心理学。「自己意識の構造」が最大テーマ。その主な下位領域として自尊心、性意識、思い込み、人格形成などを研究。
◎中学2年のときから「自分とはなにか?」に関心があり、以来ずっと「自分」についての研究に没頭している。
◎日本心理学会、日本発達心理学会、教育心理学会、日本社会心理学会所属。著書に『自己意識心理学概説』(北樹出版)、『自己成立の発達心理学』(ふくろう出版)、『思い込みの心理学』(ナカニシヤ出版)などがある。


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世の中の「常識」もあなたの「性格」もこの世の99%は思い込みでできている。その「思い込み」はいかにつくられるか、またその「思い込み」を外すにはどうすればいいかを探る。

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